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「高リターンの投資先が日本にない…!」個人の投資マネーの“海外流出”を加速させる新NISA。日本経済にもたらす深刻な影響とは?

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金融資産所得の税負担軽減措置がとられている本当の理由は、政治的圧力であると考えられる。そして、少額投資非課税制度は、人気取り政策としての性格が強い。

これらの措置が資産の海外流出をもたらさないために最低限必要な条件は、国内に魅力的な投資先が存在することだ。

しかし、海外投資の収益率が高ければ、標榜(ひょうぼう)されている効果とは逆に、資金流出を増大させる結果になってしまう。日本の場合がまさにそれだ。

「貯蓄から投資へ」が日本経済を弱める

新NISAは、岸田政権が、「貯蓄から投資へ」というスローガンの下で導入したものだ。

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しかし、「貯蓄から投資へ」とは奇妙なスローガンだ。銀行預金であれ株式投資であれ、家計の観点から言えば貯蓄だ。そして、銀行預金であれ株式投資であれ、最終的には投資に回されるからだ。

これを標榜する人たちが主張しているのは、リスクと期待収益率の関係を、現在の安全重視的なものから、リスクが高いものに変えたほうがよいということだ。

しかし、リスクと期待収益率のどのような組み合わせが望ましいかは、資産保有者の個々の事情によって異なる。しかも、受け皿となるべき高リターンの投資先が日本にないので、家計資産の海外流出をもたらしてしまった。

その結果、日本企業が生産性を高めるために必要な資源が減少する。そして、国内投資先の収益率はますます低下する。

「貯蓄から投資へ」という政策がまったく間違ったものであることが、あらためて明らかになった。

政府の政策として必要なのは、技術革新や人的能力の向上を助けることによって、国内での経済活動を活性化させ、国内投資の収益率を高めることだ。これは、金融資産所得の税負担軽減によって実現できるものではない。

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