「トランプ関税」による世界の株価下落は終わった、次はいよいよ「トランプ減税で世界株高」の番だ

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株価のテクニカル的アプローチはこの辺にして、ここからは、トランプ大統領の次の一手を考えてみたい。トランプ大統領は、大統領専用機の中で、記者団に上乗せ関税に関して聞かれ、「再度延長する可能性は低い」と言明した。

退路を断ち、この90日のディール期間中に、各国を個別撃破し、自分流の数字を積み上げて関税問題を成功裏に終了させようとする腹づもりだろうが、果たして、来年11月の中間選挙に勝つだけの評価を得られるだろうか。

トランプ大統領が、選挙当選前から唱えていた「所得税率の引き下げ」「控除額の拡大」「中小企業支援強化」「キャピタルゲイン税の見直し」等の一連の減税政策は、いまのところ、まったくと言っていいほど表面化していない。

唯一というべきか、直近ではジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長に利下げ圧力をかけたが、失敗した。とすると、今後は、やはり減税政策で支持率の上昇を目指すのではないか。こうした減税政策は、日本においても夏の参議院選挙を踏まえた与野党のせめぎ合いと同次元の問題で、日米ともに株高の材料だ。

台頭する建設株、銀行株の再人気化も

筆者は、デフレ脱却からソフトインフレに進む日本の株式市場の柱は「銀行と建設」とかねてから唱えて来た。このうち、建設については、日本株が2023年以降大きく上昇した割には人気の盛り上がりはなかった。しかし、今年4月に入り、大成建設は年初来高値を更新し、清水建設も業績のサプライズ上方修正で先週急騰するなど、動きが変わって来た。もちろん、筆者が強く推している大林組なども、長期上昇後の調整安は終わったとみる。

また、トランプ関税の影響による景気減速懸念で調整に入っていた銀行株も、金融庁の新たな運用指針で、2026年にも始まる「企業価値担保権」によって、資金が今後動きやすくなることが考えられ、再び人気化に向かうとみる。

これについては、筆者だけの印象かもしれないが、平成バブルはゴルフ会員権が銀行担保と認定されたところから始まったことを思い出す。ハイテク技術もゴルフ会員権も「銀行担保」と考えた場合は同一のものだ。「アメリカ一国主義」で、今は世界の自由貿易が崩壊する不安の中にあるが、やはりインフレからバブルへの流れもしっかりみて行きたい。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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