「精神の高尚さを失うな」、"正論政治家"村上誠一郎が危惧してやまない「この国の針路」 9000字ロングインタビュー【後編】

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そして、根本的に立て直すべきは教育です。初等教育で必要なのは「読み・書き・そろばん」、そして「しつけ」です。「読み・書き・そろばん」の内容とは、「読解力」と「文章力」と「数的処理」です。これらはどの時代でもどの国でも、若いときにしっかりと身につけなければならない素養です。

その次の段階で必要なのは「独創性」です。欧米ではテーマを作り、自分の頭で考えることを身につけさせます。要するに、自分で飛べる“翼”を身につけさせるのです。

一方、日本では大学入試までは詰め込み教育で一生懸命に勉強しますが、その後は“グライダー飛行”で、水平飛行から徐々に高度は落ちていきます。これが、新たな産業を生み出す能力があるかないかを決してしまうのです。アメリカで、これまでにない金融商品を生み出したり、GAFAがあそこまで成功した原因は、教育にあると思います。

最近心配していることは、永田町や霞が関に若い人材が集まらなくなりつつあることです。給料が安くてもリスペクト(尊敬)があれば、人はやる気が出るものです。待遇が悪く、リスペクトもないということでは、優れた人材は集まってきません。

一生懸命にやっている人に対しては、その努力を認め、尊敬しないといけません。「公の精神」や「青年の矜持」といった倫理観。これを教えるのも重要です。

大正から昭和にかけてフランスの駐日大使を務めたポール・クローデルは、「なくなってほしくない民族が1つある。それは日本民族だ」と日本人を称えたことがあります。「日本人は貧しいが、高貴だ」と言ったのです。日本は経済発展により、生活は豊かになりましたが、だからこそ心の豊かさ、精神の高尚さを失ってはならないと思うのです。

天文学は真の平和教育につながる

この年齢になって、天文学や宇宙学に関心を持つようになりました。果てしない宇宙で地球だけ、生物が存在する奇跡の惑星なのです。地球には大気があり、水があり、土があり、地軸があり、自転公転もしている。何より奇跡なのは、太陽との距離です。「ハビタブルゾーン」といって、これ以上近ければ、水が蒸発し、遠ければ凍りついて生物は生存できません。地球こそ宇宙のオアシスです。

そのオアシスを環境汚染で侵したり、戦争で破壊したりするなどは、本当に愚かしいことだとわかります。だから、小さいときから宇宙学や天文学を習得すれば、自分が生きている環境がどれだけ恵まれているのかを理解できる。思考方法もそのように変わってくるのではないでしょうか。ある意味では、真の平和教育になると思います。

現在、世界で兵器に費やすお金は200兆円ですが、その1%でもきれいな水を飲めるよう、浄化に使えば、世界中の子どもたちの健康が守られるのです。人道問題に関する超党派議連もありますが、日本の政治家ももっと目を外に向けるべきでしょう。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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