「東京の方が圧倒的に働きやすい」54歳で山形から東京に移住、73歳の今も”タイミー”駆使し介護職として働く女性に聞いた≪正直な感想≫

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流美子さんにとって東京移住はまさにいいこと尽くし。何一つ嫌なことも困ったこともなかったというが、ひとつだけ気になるのは夫の存在だ。単身赴任の夫は定年後、どうしたのだろうか。

「夫は移住して4年くらいたった頃に定年になり、東京に来ました。ただ、私とは性格がまるで違います。他者と話をすることを好まず、かといって私を否定することもない。

とりあえず私がご飯の準備をしておけばよく、あとはお互い好きなようにやっています。夫も趣味はパソコンでの将棋と碁、それに絵を描くことです。出不精で、家で過ごすことがほとんど。旅行に行くこともありません。

私が娘の家に行くときも、一緒に行くことはありませんし、必要以上に関わろうとしません。でも、それが自然で、お互いに干渉せず、うまくやっています。孫が自宅に来る時はさすがに会話していますが」

室星流美子さん
取材に応じる流美子さん(撮影:今祥雄)

終活も自然に話せる家族関係

そして、移住から20年弱が経ち、年齢を重ねた今、終活についても家族と自然に話せる関係が築かれている。

「まず娘に伝えているのは、私には延命治療はしないでいいということ。娘からは『骨をまくのは海か山のどちらがいいか』と聞かれたりしています。私は『海は深くて嫌なので山のほうがいい』などと返していますが(笑)」

人生の後半に東京へ移り、自分らしい人生を築いた室星さん。その歩みは「自分のやりたいことを諦めずに進む」ことの意味を教えてくれる。

「移住してからの仕事や生活は健康だからできるのです。本当に東京に早めに移住してよかったと思っています」

——人生は一度きり。けれど、どう生きるかは自分次第。やりたいことをやり抜くことは簡単なことではないが、やってみる価値はある。室星さんの話を聞いていると、納得できる人生を全うするための勇気と希望、そしてヒントをもらえた気がした。

岩崎 貴行 ジャーナリスト・文筆家

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いわさき たかゆき / Takayuki Iwasaki

1979年埼玉県生まれ。2003年早稲田大学政治経済学部卒業、同年日本経済新聞社に入社。政治部、金沢支局、社会部を経て、2013~2020年文化部で音楽(ジャズ・クラシックほか)や文芸などを担当。さいたま支局キャップ、地域報道センター次長も務めた。2024年9月に同社を退職し、同年10月から出版社勤務。専門は音楽を中心とする芸術文化で、音楽雑誌やネットメディアなどへの寄稿多数。東日本大震災、福島第1原発事故などの取材に関わった経験から、環境問題、地域振興などへの関心も高い。

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