「緩やかなインフレ局面」でも【投資の神様】ウォーレン・バフェットが日本株を買い控えた"不吉"

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バフェット氏は投資対象企業に①事業のわかりやすさ、②株価の割安さ、③立派な経営者がいること、④継続的なキャッシュフロー創出と株主還元などを求めます。

大手商社は外国人投資家からビジネスモデルがわかりにくいと言われたこともありましたが、バークシャー・ハサウェイ社と同じコングロマリットなので、似ていると思ったようです。

外国人投資家のインセンティブが低下する日本株

バークシャー・ハサウェイ社が2020年8月に日本の商社5社に大量保有報告書を出したときに、インフレ期待の高まりがあったように、バフェット氏のマクロ経済観も銘柄選択に影響します。

バークシャー・ハサウェイ社の株式ポートフォリオは情報テクノロジー、金融、エネルギー、生活必需品などの業種が多くなっています。バフェット氏が日本は緩やかなインフレ局面に入り、植田和男日銀総裁の下で金融政策が正常化する予想を持つならば、日本の大手銀行株に投資してもおかしくないと思いました。

また、Activision Blizzardのようなゲーム株に投資したこともあるので、日本で任天堂などのゲーム株に長期投資してくれるかもしれないと思いました。日立製作所のように、優れた経営者がいて、事業ポートフォリオの見直しや株主還元に積極的な企業も投資の検討対象になると考えました。

しかし、バークシャー・ハサウェイは大手商社以外の日本株に投資しませんでした。2024年秋には、アップルやバンクオブアメリカ株などを大量に売却して、現預金・同等物を3250億ドル(約49兆円)に積み上げ、そのほとんどを短期国債で運用していることが話題になりました。

2024年11月11日のウォールストリート・ジャーナルは"Does Warren Buffett Know Something That We Don't?"(ウォーレン・バフェット氏は我々が知らない何かを知っているのか?)との記事で、ウォーレン・バフェット氏は石油危機が起こる前の1969年や、2008年のリーマンショック前に弱気になった実績があるので、近い将来に不吉なことが起きる可能性があるかもしれないと指摘しました。

東証の海外投資家地域別株券月間売買状況によると、北米投資家は2024年9月まで4カ月連続で売り越しになりました。

米国投資家は外国投資家のなかで日本株保有額が断トツに大きいイメージですが、東証の統計では、日本株の売買シェアが約7%しかなく、逆に欧州投資家が7割超を占めています。これは米国系大手運用会社が、外国株への投資はロンドンオフィスから注文を出すことが多いために起きる現象だと思われます。

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