ABCマート「社外取締役に榎本加奈子&畑野ひろ子を起用」に賛否両論だが…今回の人選が"大正解"と言えるワケ

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執行サイドでは、これら広告宣伝を専門とする社員、店舗開発を専門とする社員、顧客接点を専門とする社員たちが戦略を組み立て、インフルエンサーを起用したりインスタ映えする店舗や商品の展開をするなどそれぞれの役割を果たしていきます。そして経営全般を判断する取締役会には、そのコミュニケーション戦略の是非を判断し、不足する要素を指摘する能力が要求されます。

畑野ひろ子さんと榎本加奈子さんに求められること

これまでの取締役会であればフジテレビ元社長が店舗のメディア化や消費者とのコミュニケーション戦略をガバナンスする要となる存在だったはずです。しかし彼はいなくなる。では誰ならばそれに代わることができるのでしょうか?

その視点で選任されたのが今回の新任取締役候補のおふたりでした。ながらくファッションやトレンドの分野では若い消費者をリードする立場にいて、しかもスポーツという視点でいえばおふたりともサッカー日本代表とメジャーリーガーそれぞれの家族です。世界のスポーツビジネスの頂点というべきシーンを夫と一緒に体験してきたおふたりです。

ABCマートは別に海外の物言うファンドから買収提案が来ているわけでも、業績不振から思い切ったリストラが必要とされているわけでもなく、また企業ガバナンス不全から国民的不祥事を引き起こしているわけでもありません。

社外取締役に求められるものは、ハンズフリーシューズ市場の拡大と店舗を情報発信のメディアに変えることと、ABCマートスポーツの拡大の3つです。

この3つの経営課題を前提に考えた場合、このおふたりを選任するのか、それともアプリが使えないような世代のプロ経営者を呼ぶべきか? どちらがいいのかで賛否がわかれている状況なのですが、私は前者のほうがいいように思います。皆さんはどうですか?

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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