ABCマート「社外取締役に榎本加奈子&畑野ひろ子を起用」に賛否両論だが…今回の人選が"大正解"と言えるワケ

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その背景のひとつにインバウンド市場の拡大があります。円安のおかげで日本で海外ブランド品を買う顧客も増えていますが、それに加えてABCマートでは日本でしか買えないモデルの商品の強化を推し進めています。そのためにも店舗をメディアに変えることが重視されているのです。

一方の「ABCマートスポーツ」はカジュアルスポーツファッションの小売業態です。シューズも売るのですが街着としてのスポーツファッションアイテムをトータルに提案するお店で店舗数は全体の1割に近づいています。スポーツをファッションとしてどう訴求させていくのかが成長の課題です。

3つめの課題ですが、ABCマートは日本と韓国が全店舗数の95%を占めています。これに台湾を加えると99%になります。ひとことで言うと東アジアに集中して店舗展開している企業です。そして日本同様に韓国・台湾も売上高を伸ばしているのですが、海外売上高の比率は過去5年間一貫して31%程度と変わりません。

ユニクロ、ニトリなど他の小売業が海外売上比率を高める戦略をとっているのに対して、このままでいいのか? というのが経営上の論点です。

この点についてはABCマートの経営陣はこのままでいいと考えているように見受けられます。理由は海外マーケットではディスカウントの方向に市場が変化しているからです。ある意味、その結果起きているのが先述したようなアメリカのシューズ大手の苦境だと言えるかもしれません。価値ある商品を高く売れる3市場にしばらくの間フォーカスするというのは妥当な判断だと私も思います。

取締役会メンバーに最適なのは?

さて、ABCマートの決算説明資料から仮に同社の戦略を以下の3つだと想定します。

1. 国内(および韓国)ハンズフリーシューズ市場の拡大とそこでのドミナント的成長
2. グランドステージ店舗のメディア化とABCマートスポーツのブランド訴求
3. グローバル展開は現在の3カ国に集中

この前提で、どのような取締役会メンバーが最適なのか? ここが新任役員選任にあたっての次のポイントです。

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