ABCマート「社外取締役に榎本加奈子&畑野ひろ子を起用」に賛否両論だが…今回の人選が"大正解"と言えるワケ
ABCマートの取締役会を考えるための重要な確認ポイントは取締役会全体の顔触れです。ABCマートは社員から任命された取締役が過半数を占める企業で、野口実社長を含め5人は社歴が長い役員です。
外部からの制度的な要請としては、東証はガバナンス強化の視点から社外取締役の起用を、政府はダイバーシティの視点から女性役員の起用を求めています。
これまでの社外取締役は3人で、ひとりはシューズメーカーのコンバースジャパンの元役員、ふたりめはプロ経営者であるカリスマコンサルタント、そして3人目が今話題のフジテレビの元社長です。この3人目の方が今回退任されることになり、それで新任取締役候補として、畑野ひろ子さんと榎本加奈子さんの名前が挙がったのです。女性役員はこの案でゼロからふたりに、社外取締役は3人から5人に増えることになります。
既存メンバーに欠けているもの
では取締役会メンバーの構成としてはどうでしょう。おふたりが加入される前の状況を考えてみます。5人のいわゆる社内役員はABCマートの経営執行能力にたけたメンバーです。これに対してひとりはグローバルなシューズ市場の視点から、もうひとりはプロ経営者の視点から経営陣に対する指南を行える、そのような取締役会メンバー構成になっています。
このメンバーに欠けているものは何かを考えると、ABCマートの戦略が必要とするものの中で、これまでの2人の社外取締役だけだと(申し訳ないですが)不足するのが消費者と企業をつなぐコミュニケーション能力です。
ハンズフリーシューズのような新しいトレンドを消費者がどうとらえているのか? 消費者は何を知っていて、何は伝っていないのか? またシューズをさらに一段俯瞰させ、スポーツとファッションというジャンルでのABCマートの価値をどう消費者に伝えるのか? ないしはグランステージの店舗をどのようにメディア化していくのか?
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