ABCマート「社外取締役に榎本加奈子&畑野ひろ子を起用」に賛否両論だが…今回の人選が"大正解"と言えるワケ

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ABCマート(写真:編集部)

カジュアルシューズの大手販売店「ABCマート(企業名はエービーシー・マート)」が社外取締役候補者としてモデルの畑野ひろ子さんと元女優の榎本加奈子さんを選出したことで賛否が分かれる議論を引き起こしています。5月27日開催予定の株主総会では選任をめぐって株主からの厳しい質問も起きそうです。

私は戦略コンサルタントとしての経験から今回の人選は「アリ」だと捉えています。もう少し積極的に言えば「もっといい人選はない」と思っています。

今回の人選に反対する人は「社外取締役として株主利益を守るだけの能力があるのか?」という点を問題にしているようです。では考えていただきたいのですが、ふたりの代わりの人選として、異業種企業の大物経営者、国際弁護士、有名ビジネススクールの教授などを起用するほうがいいのでしょうか?

この問題はふたつの視点で考えると答えが見えてきます。ひとつはABCマートが置かれた経営環境と課題、もうひとつはふたりを含めた取締役会の顔触れです。頭ごなしに「芸能人の取締役起用などけしからん」と意見する前に、このふたつの状況をまずは見てみましょう。

売上高が過去最高になったABCマート

まずは経営環境から。ABCマートの直近の決算概況を見ると、売上高は3722億円と過去最高額、連結純利益も前期比13%増と非常に堅調です。ABCマートは定期的にセールを実施しながらも、自社製品とブランド製品ともに価値の高いシューズを比較的高い価格で販売するチェーン店です。

世界に目を向けるとこの反対のやり方でブランドシューズを安値で販売するビジネスモデルの靴チェーンが苦戦しています。アメリカでは2017年に世界4400店舗のペイレス・シューソースが経営破綻しました。生き残っている大手チェーンのフット・ロッカーもフェイマス・フットウェアを運営するカラレスもこの1年の株価は大きく下げています。

そして経済の専門家の視点で言えば、ABCのように価値あるものを高く売るビジネスのほうが難しいのです。ブランド価値の高い商品を仕入れ、その価値を消費者にきちんと伝えて売る能力が必要だからです。

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