【スクープ】2026年ワールドカップ放映権でFIFAが博報堂と交渉か→「電通外し」へ動いた真因をFIFAに直撃すると意外な狙いが見えてきた

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今回、東洋経済はFIFAから公式コメントを得ることができた。電通外しについて具体的には触れないものの、冒頭の放送権ビジネスのワークショップに、NHKと博報堂が参加したことは認めた。

そのうえで「FIFAは2026年のFWC(FIFAワールドカップ)に向けて、デジタル活用と革新を非常に重視することで、テクノロジーとビデオ消費の進化に適応していく」と述べた。

FIFAは2023~2026年の4年間、放映権収入を42億6400万ドル(約6000億円)へ拡大する目標を掲げている。2019~2022年の放送権収入34億2600万ドル(約5000億円)より、約25%も増やす必要がある。

2026年大会は出場国が48カ国に増加(2022年は32)、試合数は6割増の104試合を予定する。

世界のスポーツビジネスには、動画配信の普及というゲームチェンジが起きている。そして、巨大資本を擁するネットフリックスやウォルト・ディズニー、アマゾン・ドットコムといったプラットフォーマーの間では、新規会員の獲得競争が激化している。

すでに韓国では「(放映権のパートナーを)放送局のコンソーシアムから、デジタルとリニア放送の両方に強みを持つ、JTBCという1つの企業に移行した」(FIFA)。電通外しはワールドカップ放映権に関する、FIFAの全世界的な改革の一端にすぎないのだ。

FIFAが抱く懸念

当然、変化の余波は、依然としてテレビ局のメディアパワーが強い日本にも押し寄せている。FIFA関係者によれば「日本におけるワールドカップ放映権は、1大会あたり2億ドル(約300億円)程度」だったという。

2022年の前回大会も開幕まで1年を切る中で、放送局ではNHKとテレビ朝日、フジテレビが放送を決めた。ただし注目試合に限られ、地上波での放送枠は減ってしまった。

電通のスポーツ部門は、オリンピックやW杯など国際的なイベントを取り仕切ってきた経験を豊富に有する(撮影:今井康一)

結局、全試合を「ABEMA」を擁するサイバーエージェントが無料配信するとの契約を締結。同社はメディア事業において、開催期間の四半期に93億円もの営業赤字を計上した。

前回大会における電通の放映権の取り扱いのパフォーマンスも相まって、FIFA側は「一極集中によって、電通におごりがあるのではないか」(FIFA関係者)という懸念を深めていったようだ。

ただ、ここに来て博報堂は壁にぶつかっている。テレビ局への放映権販売について、事前交渉がまとまらないというのだ。

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