知る人ぞ知る「新泉駅」いったい誰が利用するのか 鉄建建設の研修施設、線路や踏切リアルに再現

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研修センターは社外の学習・訓練の機会にも活用されている。盲学校の生徒が参加する「鉄道体験会」は、実際の駅で試してみるのが難しい設備に触れられ、ホームから転落した場合や踏切に閉じ込められた場合の対処方法を学ぶことができると好評という。

また、2025年3月には、成田消防署が同センターの設備を使って救助訓練を実施した。1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受けた訓練で、地面の下の要救助者をロープで吊り上げる訓練に深さ約5mの施設内の立坑が用いられた。

過去の失敗から学ぶ

屋内研修施設としては、大型ディスプレイなどを用いて、1970年の「天六ガス爆発事故」をはじめ過去に起こした重大事故を振り返る展示室がある。建設技術総合センターは、2006年に首都圏で3件立て続けに発生させた鉄道輸送障害が開設のきっかけになっている。

2014年に起こした川崎駅構内列車脱線事故に関しては専用のスペースを設けて状況を詳しく再現。問題点や対策について詳しく学べるようになっている。

研修センターには過去の事故や安全対策についての展示室がある(記者撮影)
【写真をすべて見る】どれくらいリアル?鉄建建設の研修施設に敷かれた実習線。「新泉駅」をはじめ約150mの間にさまざまな鉄道施設が詰め込まれている

長橋所長は鉄道関連の建設工事について「自分のつくったものがずっと形として残り『ここは大変だったな、ここはうまくいったな』と感じられるやりがいのある仕事」と強調する。

きょうも全国各地で、列車が間近で行き交う限られたスペース、限られた時間内での工事が進んでいる。それらに携わるプロフェッショナルたちにとって、どこにもつながっていない実習線の新泉駅は安全の最寄り駅になっている。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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