改善が急務 「老老介護」で直面する5つの"高い壁" 共倒れを避けるには「介護者のケア」にも目を向けて

老老介護による共倒れを招く「5つの壁」について解説します(写真:Fast&Slow/PIXTA)
急激な高齢化が止まらないなか、「老老介護」が深刻な社会問題となっていますが、介護の現場を取材しているノンフィクションライターの甚野博則氏によれば、「老老介護」で最も危険なのが、「共倒れ」のリスクだという。
そんな甚野氏が、これまで取材してきた中で感じた、「老老介護」が内包する5つの壁について、同氏の著書『衝撃ルポ 介護大崩壊 お金があっても安心できない!』から、一部を抜粋・編集する形で解説します。
老老介護で直面することになる「5つの壁」
介護の現場で高齢者同士が直面する問題は、身体的な負担だけではない。かつて取材をした70代の夫婦は、自ら体験した5つの問題について語っていた。
この夫婦は当時、年金収入だけで生活していたが、1つ目は経済的な問題に直面したという。夫の木村吉夫さん(仮名)は、妻を介護している。だが、介護用品や医療費が家計を圧迫し、生活費を切り詰めなければならない状況に陥ったと振り返った。
「このままでは自分たちの生活が立ち行かない」
当時、木村さんはこんな不安を漏らしていた。
木村さんは食事の準備や洗濯、掃除といった日常の家事全般を一手に引き受けている。それに加え、妻の食事介助や入浴の補助、排泄の世話など、24時間体制での介護が必要だ。
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