こういう話をすると、デジタル・デバイドは年齢的な差ではないかと捉えられがちですが、実はいろいろな学術研究の結果、高齢者でも使いこなしている人はいるということがわかっています。
デジタルリテラシーの格差は、年齢によるものではなく、RSTによって判明するシン読解力だった可能性が高いのではないでしょうか。
電子マネーやネット通販などを一切使わないで過ごす孤高の戦士みたいな人たちもいましたが、その人たちはデジタルリテラシーの低い人とは言い切れないのです。
そして、その人たちがいなくなったとしても、シン読解力の低い人はデジタルの恩恵を得られない。そういう意味で、この本は新たな社会問題を突きつけたんだと思います。
幼い頃からのシン読解力育成が財産に
日常生活レベルでその格差を解消するには、コンピューターのUI(ユーザー・インターフェース)を使いやすくすればいいわけです。
しかし、仕事となると、電子マネーで支払いをするとか、スマホでチケットを予約するのとはわけが違います。UIのレベルではなく、まさにシン読解力が試される。シン読解力を身につけた者だけが生き残る。
一方で、ある人が、ある会社の、あるポジションで仕事をして、それが全然こなせなかった場合、その人は「仕事ができない」という評価を受けてしまいます。
しかし、実は仕事の種類や部署や会社に向いていないだけのマッチングミスかもしれない。異動や転職をしたら、急に能力を発揮する人ってたくさんいます。
そう考えると、著者の新井さんがおっしゃるようにトレーニングをきちんと行い、シン読解力を高めていくこととともに、そのマッチングミスを減らすことも重要な社会課題だと思います。
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