縮少する国内自動車マーケット “外弁慶”スバルが挑む国内販売テコ入れ大作戦

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これまで販売員の評価基準は事実上、販売台数に限られた。販売員は個人プレーに走り、販売店全体の売り上げ増や顧客満足の向上に必ずしもつながっていないという反省があった。「トップセールスマンを育成するのではなく、チーム(販売店)で力を合わせて販売していく必要がある。個人に頼るのではなく、知識や販売スキルを共有することで、販売店全体の底上げを図る」と飯田国内営業本部長は狙いを説明する。

国内で鍛えた実力は海外でも生きてくる

三つの施策にインプレッサ、「BRZ」という新車種も加え、国内販売は立ち直りつつある。

スバルは70%超の海外販売比率に対し、海外生産比率は30%弱と低いため、円高の影響をモロに被ってしまう。11年度の営業利益が10年度から半減するのは、こうした収益構造の脆弱さがあるからだ。一朝一夕に海外生産を拡大できない以上、国内の重要性は増している。

スバルにとっての主戦場は北米を中心とした海外市場であることは変わらない。が、「日本のお客様の目は世界一厳しい。そこで受け入れられれば、海外でも必ず受け入れられる」(吉永社長)。

エコカー技術の開発など、一定以上の規模が生き残りの条件とされる自動車業界。スバルが独自路線を歩み続けるために、国内販売改革を継続していく必要がある。

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(又吉龍吾 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済2012年3月3日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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