「企業・団体献金がなくなれば政治のダイナミズムが削がれる」役職停止処分明け・萩生田光一氏が「政治とカネ」問題に今思うこと

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――企業・団体献金に関する議論は、期限とされていた3月末で決着せず、継続協議ということになりました。萩生田さんはこれまで「政治には一定のお金がかかる」「企業・団体献金は必要」と主張してきました。規制強化に向かう今の議論の流れをどう見ていますか?

(裏金問題は)ことがことだっただけに、規制強化はやむをえない方向なのだろうと思います。確かに、この際だから企業・団体献金は禁止してしまったほうが歯切れはいいし、聞こえもいい。ただ私は、その後に起こることについても国民の皆さんに一緒に考えてもらいたいと思っています。

私は普通のサラリーマン家庭の出身で、地方議員を経て国会議員になりました。財力などなかったので、中小企業の皆さんが浄財を少しずつ出して応援してくれて、本当に皆さんに育ててもらって議員になった。

企業献金というと何か大きなお金をイメージするかもしれませんが、法律上は中小企業の皆さんが法人名義で寄付をする5000円、1万円も企業献金になります。そういうものまで全部禁止してしまうと、政治家になれる人がますます限られてしまうのではないかと思います。

今も世襲議員はすごく多いですよね。また公募して選ぶにしても、自分で一定のお金を出せる人か、落選しても生活に困らない人か、そういう視点が大きくなってしまう。うちの党だけでなく、国家資格を持っていていつでも職場に戻りやすい候補者を選ぶ傾向は強いです。

これが行きすぎると、政治のダイナミズムが削がれることになると思います。僕みたいに、地盤もかばんも看板もなくて「お前が政治家になれるわけないだろう」と言われながらのし上がってくる人もいないと。

寄付を受けるか「セレクト」する重要性

――一方で自動車業界や医師会など、自民党に多額の献金を行っている企業・団体もあります。それらがお金の力で政治をゆがめているのではないかとよく指摘されますが、この点はいかがでしょうか。

僕は政調会長もやりましたが、どこの団体や企業がわが党にいくら献金しているといったリストを持ちながら話をしたことはありません。例えば医師会は確かに多額の献金をしてくれていますが、じゃあ毎回医師会の言うとおりに自民党がやっているかというとそうではなく、診療報酬改定にしても何にしても、向こうは毎回のように不満を持っているわけです。

ですからそこは、見返りを求めてくるような人たちの献金を受けるか受けないか、自分たちでセレクトしていくことが重要だと思います。例えば、何か陳情や相談に来られて、そのきっかけで寄付をしますとおっしゃる場合。これは、寄付をするからこの相談に乗ってくれというのと同じで、そういう場合はきっちり断っています。

企業・団体の皆さんも、もし「寄付をしたんだから自民党は俺たちの言うことを聞け」と思っていらっしゃるとしたら大きな間違いです。そうじゃなくて「政治をしっかりやってくれ」「社会をよくしてくれ」という激励をされているのだとわれわれは思っていますし、そのラインはしっかり守ってきたつもりでいます。

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