前年11位から4位に上げた日立製作所も電機業界だが、こちらは親子上場の解消を進めるなど改革が評価された点もあるが、防衛関連人気も後押ししたはずだ。政府の防衛予算の増額を好感して上昇した会社で象徴的なのは三菱重工業。3.6兆円以上増やして42位から20位にジャンプアップとなった。39位から28位に上昇の富士通、1.2兆円増やして70位から42位に躍進のNECも防衛関連の性格がある。物色の対象の広がりも感じさせた。
ディープシークのインパクト
とはいえ、日経平均がこれだけ下げているだけに、多くの企業で時価総額を減らしている。特に目立つのが、やはり半導体関連。9兆円以上減らして前年3位から19位に後退した東京エレクトロン。信越化学工業が9位から21位へ、ルネサスエレクトロニクスが41位から53位へ、ディスコが29位から65位へ後退。そして、大幅に順位を下げたのがレーザーテック。時価総額を2.7兆円減らして、前年53位からランク外となってしまった。足もとの業績が堅調なところが多いが、期待の剥落が大きかったのか時価総額の縮小が目立った。
年度前半はAI関連需要への期待も高く、アメリカの半導体大手であるエヌビディアの決算に一喜一憂する展開で、高値圏での推移が続いたが、今年1月に中国のAIベンチャーであるディープシークが低コストの生成AIモデルを発表すると、期待した需要増が見込めなくなるのではないかと期待がしぼみ軒並み急落。その後も上値の重い展開となってしまった。
2024年度は総じて冴えない展開となった総合商社だが、足もとは再びバフェット買いの期待も高まる。全体に渋い展開となった通信大手も見直しがあるのかどうか。野村ホールディングスとほぼ同じ時価総額に成長した野村総合研究所をはじめ、好調な業績が続くIT各社の上昇がまだ続くのか。新年度が楽しみな展開だ。
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