韓国・尹錫悦大統領が罷免された理由は何か、憲法裁判所が判断した憲法・法律違反の根拠と判断

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2025年4月4日、韓国・憲法裁判所の文炯培(ムン・ヒョンベ)裁判所長権限代行。尹錫悦大統領の戒厳令布告に関する憲法違反の理由を説明している(写真・ 2025 Bloomberg Finance LP)
韓国の憲法裁判所が2025年4月4日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判で罷免を決定したのは、2024年12月3日に戒厳令を宣布したことと戒厳令第1号の内容、そして戒厳軍が中央選挙管理委員会に侵入したことなどが韓国の憲法と法律に重大な違反となると判断したためだ。
一方で、尹大統領が戒厳令を宣布した理由として上げていた、国会で多数派の野党側が相次いで弾劾訴追を行ったことと政府の予算を削減したことによる野党側が激しく対抗したことについては、「対話と妥協によって解決策を見つけるべきだった」と憲法裁判所は指摘した。
また、最も慎重に行使されるべき権限である国家緊急権を、憲法が定めた範囲を超えて発動して国民の信任を裏切ったという憲法・法律違反行為が、憲法を守るという観点から容認できないと批判した。
以下、今回の弾劾審判における主要争点について、憲法裁判所がどう判断したのかをみていこう。

「政権にとって重大な危機ではなかった」

①非常戒厳宣布は違憲

憲法裁判所は、尹大統領による戒厳令が「戦時あるいは重大な事変、またはこれに準ずる国家非常事態に戒厳を宣布することができる」と規定した憲法と、その戒厳法の実質的要件に違反した行為だと判断した。

今回で過半数を占める「与小野大」の構図における野党側からの相次ぐ弾劾や政府の予算削減などで「政権に重大な危機が発生した」と尹大統領側は主張したが、憲法裁判所はこれを認めなかった。

「国会の権限行使が違法、不当であっても、尹大統領の法律案の再議決要求など、通常の権力を行使する方法で対応できる。そのため、(戒厳令といった)国家緊急権の行使を正当化することはできない」と憲法裁判所は説明した。

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