北海道から東南アジアへ渡った機関車「DD51」の今 熱帯の地で50歳を迎えた彼らの「第二の人生」
2025年2月初旬、筆者は首都バンコクから70kmほど離れたタイ国鉄ノンプラドック駅を訪れた。同駅ではタイ国鉄の南本線から支線が分岐しており、「ノンプラドック・ジャンクション」とも呼ばれている。また、第2次世界大戦中に旧日本軍が建設した泰緬鉄道の始発駅としても有名で、駅舎の横には石碑が立つ。
そして、この駅は現在、南本線で行われている複線化工事の作業拠点でもある。構内には多くの保線車両が止まっているが、その中に見慣れた2両の車両がいた。1960~70年代に日本の国鉄が導入した、DD51形ディーゼル機関車だ。それぞれ「DD51 1137」「DD51 1142」と書かれたナンバープレートが付けられている。

"建設機械の一種"の位置づけ
2両はいずれも分割民営化の際にJR北海道が引き継ぎ、寝台特急列車などの牽引機として活躍した。だが、それらの運行終了などに伴って余剰となり、2015年に廃車。3年後にタイへと航送され、車輪の幅を変える改軌改造などを経て、複線化工事で使われている。
ただし、この2両はほかの譲渡車と異なる点がいくつかある。1つは所有者の違い。他の車両はタイ国鉄が譲受したのに対し、この2両は複線化工事を請け負う建設会社、A.S.アソシエーテッド・エンジニアリング社(以下「AS社」)が購入・所有している。つまり、建設機械の一種という位置づけだ。
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