災害時の避難所運営、マイナンバーカードをタッチするだけで受付時間が10分の1に短縮、デジタル庁が避難者支援の技術検証実験を実施

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

たとえば、救援物資を受け取る、弁当ひとつ受け取るにも受付が必要だ。受け取ってない人がいないか? ちゃんと食事をしているか? というような管理も必要だし、考えたくはないが、救援物資を横流しするような人がいてはいけない。そういう意味でも誰が受け取ったのか管理は必要だ。

旅館などを開放して行われる入浴サービスの際にも受付が要る。入浴サービスには最終的に旅館にあるていどの対価が支払われるのだが、そのために何人が入浴したかのデータが必要なのだ。

しかし、行方不明になった家族を探して移動する人がいる。知り合いや親戚を頼って、避難所を出て行く人がいる。小さな避難所から、大きな避難所へ移動する人がいる。そういう管理もしなければならない。

避難した人のデータ
デジタル化により、避難所に避難した人のデータを災害対策本部が集約して把握できるようになる(写真:筆者撮影)

しかし、被災地は停電していることも多いから、必然的にこれらの管理をこれまで紙ベースで行ってきた。混乱は必至だし、非常に手間もかかるし、ただでさえ少ない人員をそうした書類の管理に割かねばならない。何より、避難状況を一元管理するのが難しい。

普段、なんでもデジタルで管理している我々だが、被災した途端に紙の手作業の時代に戻ってしまう。それは非常に不便だ。

災害時にこそ、マイナンバーカードが役に立つ

『マイナンバーカードをタッチするだけで、避難所の入所手続きができる』

理想はこれだ。そうすれば、行方不明の親族を探して避難所を巡るようなことは避けられるし、どの避難所に、どういう属性の人が何人いるかも把握できる。どの避難所に、どれだけ食料や救援物資を送ればいいかも把握できる。食料や物資が人の命を左右する時に、適切なロジスティックスは非常に大切だ。

そうすることで、食料や救援物資がちゃんと被災者に渡っているのかも把握できるし、前述の入浴サービスの利用者数なども把握できる。

この、避難所運営などのデジタル化に向けて『避難者支援業務 技術検証・実証実験』がそれぞれ1月15日、2月18日に、石川県金沢市で実施された。

実証実験
実証実験では、紙に書く従来方式の入所申込と、デジタルデバイスを使っての受付の両方を行い、入所手続にかかる時間を把握したり、体験した人の感想を聞いたりした(写真:デジタル庁提供)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事