人気再沸騰の温泉街「熱海」、駅開業100年の軌跡 当時の設計図に見る「貴賓室」もあった豪華駅舎
まず、駅舎の立面図を見ると、正面中央に待合室と事務室からなる大きな建物があり、渡り廊下を介して右手に貴賓室がある。当時、熱海には御用邸があったため、貴賓室が設けられたのだ。また、正面左手に便所があるが、この場所には後年、駅ビルが建てられた。

次に平面図を見ると、待合室内の右手奥に改札口があり、改札口を出て通路(図面では「地下道」と表記)を進むと、その先の階段がプラットホームへ通じていた。一方、待合室と貴賓室を結ぶ渡り廊下に集札口が見られる。つまり、列車に乗車する客と降車した客の動線が分けられていた。
100年前の「駅トイレ」はどんな構造か
貴賓室の構造も興味深い。建物入り口に簡易な車寄せが設けられており、建物に入るとまず附属室があって、その先に貴賓室があった。また、便所は個室が6室設置されているほか、中央に8つ配置されているのが男子の小用便器、その手前の円形の造作物が手洗い場だろう。


さらにプラットホームの図面も見てみよう。中央付近に先ほどの通路からホームへと上がってくる階段が描かれており、階段のすぐ先には待合室がある。一方、ホーム右端にある小さな構造物は駅員の詰め所だ。平面図には、階段と駅員詰所の間に「エレヴェーター」の文字が見られるが、立面図には同位置に構造物が描かれていない。おそらく荷物用の昇降装置だったのではないかと推測される。

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