「2時間待ちは普通」「ひとり2000円超え」なのに大盛況!「丸亀製麺」運営企業が手掛ける「コナズ珈琲」人気爆発も"納得"のワケ
また、今回はパンケーキとコーヒーを頼んだが、同店は食事メニューも充実している。ハワイの食事としてお馴染みのロコモコやポキ丼など、さまざま。グループで来て、これらの食事をシェアしながら女子会をしているテーブルも多かった。
また、立地戦略もうまい。特に関東圏に絞ってみると、16号線沿線の街に多くの店舗がある。
16号線沿線といえば、0〜14歳の流入率が高く、ファミリー層が日本で最も住み始めているエリア。2023年の住民基本台帳人口移動報告によれば、0〜14歳の人口流入トップはさいたま市、町田市、茅ヶ崎市、つくば市と続くが、このうち町田市を除く3つの市にはコナズ珈琲がある。
小さな子どもを持つママ友会需要などにはもってこいである(また、子どもが泣いてしまっても、店内がにぎやかだからそこまで目立たない、というのも良いのかもしれない)。
それ以外にも成城や新百合ヶ丘など、ファミリー層の多い立地を慎重に選択して出店していることも、その客層選択に大きく貢献しているだろう。
女子会が及ぼす経済効果はかなり大きいともいわれている。古いデータだが、2013年の調査ではその経済規模は約3兆7000億円にも及んでいる(共立総合研究所の調査による)。現在の数値はわからないが、その経済的価値には無視できないものがあるのは確かだ。さらに現在ではコロナ禍が収束して外食需要が戻っており、複数人での食事をする機会も増えているから、さらにそのニーズは増大しているだろう。
コナズ珈琲はそこに目を付け、着実な成長を遂げているのではないか。
「高利少売」が驚くほどうまく機能している
最近では、ファミレスも90分制や120分制……というように、利用時間の制限を設けることが増えてきた。
チェーンのカフェでも「〇時〇分まで利用可能」といったカードが配られることが珍しくない。1品あたりの単価がそれほど高くない業態においては、回転率を上げることが重要だからである。いわば、基本的にカフェやファミレスは「薄利多売」モデルである。
しかし、コナズ珈琲はそれとは正反対のモデルを取っている。いわば「高利少売」だ。
女子会需要にフォーカスを当てて店に特別感を持たせ、逆に長居してもらうことで客単価を上げてこの欠点を補う。
しかも、待ち時間が多いことは「それでもわざわざコナズ珈琲に行きたい人」を作り、むしろ店の特別感を高め、客に一体感を持たせる。
それに、現在ではほとんどが女性グループだから、店で見ている限り、待ち時間があっても話しながら待っていて、さほど苦痛なようには感じられない。
びっくりするぐらい、すべての仕組みがうまく絡み合って「高利少売」モデルを作り上げている。
人口増加時代であれば「薄利多売」モデルも有効ではあっただろう。しかし、人口減少が続き、必然的に買い手が強い市場の時代には、この「高利小売」モデルが強くなっていくのは明らかである。
同店は2028年度までに100店舗を目指す。店舗の出店ペースは慎重で控えめだが、それもこの「高利少売」モデルがうまく作動するような立地を見定めているからだろう。
その点で、コナズ珈琲の着実な快進撃は続いていくと思われるのである。
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