下落基調の米国株、経済も鈍化……トランプ大統領「アメリカ・ファースト」に広がる疑心暗鬼
——“軸がブレた”というのは、株価への配慮があまりないという意味合いもありますか。
そうです。トランプ大統領が株価を見ていないかと言われれば、私は絶対見ていると思います。ただ、足元では経済を順調に推移させることよりも関税や移民の厳格化を重視しており、期待されている減税策などがなかなか出てこない。それに(市場が)我慢できなくなって、利益確定売りをしている投資家が出てきているということだと思います。
——マーケットの心理としては少し弱気になっているということですが、経済や景気の動きはどうなのでしょうか。
経済指標を見ると、緩やかにアメリカの経済は鈍化しています。実際、FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長も3月頭の講演の中で、消費などは昨年後半に比べて少し減速しているのではないかという発言をしていました。
リセッションに陥らないことが大事
——経済の動向を見るうえで、特に注目しているアメリカの指標は?
先ほど株式市場は「景気が軟着陸をするのかどうかを大事にする」という話をしましたが、やはりアメリカがリセッション(景気後退)に陥らないかが大事なので、それを早期に前もって把握できるような指標に注目しています。
その中でも私は雇用統計の詳細項目にある「派遣労働者の雇用者数」に注目しています。
イーロン・マスク氏らが進めている政府効率化省(DOGE)の取り組みによって政府職員が多く退職していることから、正社員の動向だけを見てしまうと、政府効率化省の取り組みによるものなのか、本当に景気が悪くなって辞めている人なのか、見分けがつきにくい。そこで派遣労働者の雇用の状況を見ることで、実態を判断できると思っています。
派遣労働者の雇用者数の状況を見ると、過去のリセッションの直前の数値ほど悪化していないので、アメリカのリセッションはまだ遠いだろうと判断しています。
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