「薄給・超絶ブラック16時間勤務→9時17時のホワイト勤務」へ…。平成「ブラックジャック」令和「まどか26歳」に見る、研修医たちの"変化"
過剰な残業もなく、一見ホワイトな勤務形態。しかし不具合が生じないわけではない。17時で帰宅せざるをえない研修医たちはどこか不完全燃焼な様子であり、先輩医師たちも後輩へ教育を施す余白がないことに手をこまねいているようだった。
これは「まどか26歳、研修医やってます!」の原作コミックにはない部分で、働き方改革以降にドラマ化されたからこその新エピソードだ。「わたしたちってこのままでいいの?」という研修医たちの迷いは、2024年以降の医療現場を舞台にした意義を強く感じる点でもある。
両作の違いは、私生活の描かれ方にも表れている。
英二郎の私生活……はほぼ登場することがないのに対し、「まどか26歳」はTBSの火曜10時枠らしいたたずまい。おしゃれな寮、華やかな通勤ファッションなどライフスタイルがしっかりと映し出される。このあたりの演出はドラマでより強化されている点で、仕事だけではなく私生活があってこそ、という時代の流れをくみ取っているようにも感じる。
時を経ても変わらない、医師たちの葛藤
時代の流れが変われば、医療ドラマの温度感も大きく変わる。「まどか26歳、研修医やってます!」は登場人物たちのワーク&ライフを鮮やかに映し、医師もひとりの人間であることを温かく描いた。
だからといって、物語の中の医師たちの葛藤は変わらない。2003年、英二郎が自らに、そして世間に問うた「医者って一体何なんだ」。そして2025年のまどかは「お前はどうして医者になった」「どんな医者になりたいんだ」繰り返しこう問われる。医者とは、医者であることとは。今も昔もその問いを抱え、研修医たちは走り続けている。
研修医にスポットをあてた医療ドラマは今後も登場するだろう。これからの研修医たちはどのように描かれていくのか。医療ドラマ史を振り返りながら、その変化を楽しむのもおもしろいはずだ。



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