「薄給・超絶ブラック16時間勤務→9時17時のホワイト勤務」へ…。平成「ブラックジャック」令和「まどか26歳」に見る、研修医たちの"変化"
英二郎は25歳。医学部を卒業後、大学の附属病院に配属され研修医として勤務中だ。第1話の冒頭ではこんなナレーションが流れる。
「1日の平均労働時間 16時間」「月給 3万8000円」
月給の安さ、平均労働時間の長さに度肝を抜かれるのではないだろうか。休みが1日あったとして、週に100時間ほど働いている計算になる。その理由の一端は、「安月給を補うために夜間救急の当直医バイトをしながら生活しているから」なのだが……。
英二郎が同期に対して「2時間しか寝ていない」などと自虐交じりに、しかし誇らしげに発言しているシーンもあり、この生活が研修医たちのスタンダードであることがうかがえる。
極限状態で手術室から逃げ出して…

夜間救急の当直医バイトは、救急の患者がひっきりなしに運ばれてくる緊張感漂う現場だ。英二郎はろくな診察経験すらない研修医。もちろん適切な処置などできるはずもない。
しかしある夜、先輩医師がいない状態で瀕死の患者が運ばれてくる。極限状態にさらされた英二郎は、手術室から飛び出してしまいーー。
手術室の凄惨な空気。未熟な若者にのしかかる重圧。「研修医の実に90%以上が不安を抱えながら診療している実態にある」と語られ、医療現場のシビアさにゾッとさせられる。
最低限の月給が保証され、衣食住に困らなければ、研修医がこのような過酷な場面にさらされる必要はないのではないか。しかしそのことと、目の前の患者が助けを求めていることは何ら関係がない。
「医師免許を取った瞬間からお前は普通の人間ではない 医者なんだ」。意気消沈する英二郎へ投げかけられた先輩医師の言葉が響き渡る。
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