【産業天気図・ガラス/セメント】ガラスは海外とFDPが牽引。セメントは国内活況

ガラス各社の07年度は、前06年度に続いて国内市場低迷が足かせになり、これを補う事業の有無によって各社の収益はまだら模様になる。一方、セメント各社はオフィスビルやマンション建設などの民需活況の恩恵を受け、両業界総じて「晴れ」が見込まれそうだ。
 建築用ガラスは欧州の設備投資が活況で、旭硝子<5201.東証>や06年6月に英国ピルキントン社を買収した日本板硝子<5202.東証>が06年度に好影響を享受した。東欧やロシアなどでは、中国製の安価ガラスとの競合が多くなっているが、07年度も旺盛な需要が続く。原油価格の上昇を転嫁できるサーチャージ制を導入しているため収益性も比較的高い。旭硝子は赤字の北米事業で減損処理を済ませており、大幅に収支が改善するのも建築用ガラスの海外収益を押し上げる。日本板硝子はピ社と通期フル連結(06年度は第2四半期から連結)となることもあり、増益は確実だ。
 もっとも、国内は話が一変する。主要ユーザーである建設各社は業績が厳しく、ガラスの価格転嫁は難航中。07年度も国内は不振が続く見込みで、お膝元の国内不振を海外がカバーする格好は06年度と同様だ。業界3位で国内を主な拠点とするセントラル硝子<4044.東証>には厳しい状況となる。
 ガラス業界の稼ぎ頭として台頭してきた液晶用、プラズマ用などのフラット・パネル・ディスプレー(FPD)用ガラスを持つ旭硝子は、さらに強みを発揮する。07年度は韓国で液晶用とプラズマ用、台湾で液晶用窯の計3基が稼働予定で、供給力は大幅にアップ。赤字のブラウン管用ガラスを減損処理で大幅に能力縮小していることもプラスとなる。ディスプレー用ガラス専業の日本電気硝子<5214.東証>も同様に収益続伸へ。FPD用ガラスは参入障壁が高く、価格下落も比較的緩やかである模様だ。
 一方、セメント業界は民需に引っ張られた国内活況で、需給の逼迫感が06年度下期から強まった。長年の設備廃棄などで供給が絞られたためだ。住友大阪セメント<5232.東証>は、供給責任を全うするため30年ぶりに台湾からセメント輸入を行ったほど。米国販売が好調な太平洋セメント<5233.東証>も国内販売が上乗せとなる。07年度を通して国内活況が続くと見るのは早計だが、リサイクル原燃料使用によるコスト削減に頼り切りだったセメント各社にとっては、久々の好況に潤う時期が当面続きそうだ。
【鶴見昌憲記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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