
オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』佐々木 孝 訳/岩波文庫
哲学者オルテガの代表作『大衆の反逆』の後半「第二部」は「世界を支配しているのは誰か」と題され、欧州統合への著者の熱い議論が展開される。本書が前半の「第一部」で描き出した「大衆の反逆」とは、戦間期の欧州文明が陥った精神的荒廃にほかならない。第1次世界大戦後に、欧州はそれまで維持していた世界に対する権力への確信を失い、その結果生まれた精神的荒廃である。
そのありようは、自らの失政もあって世界に対する支配的地位が揺らぎ出し、一種の精神的荒廃の中で、新たな自画像をめぐって苦悩する現在の米国の姿にもどこか似ている。この名著を現代に読む意味は、第二部を通じて一層はっきりとしてこよう。
この記事は有料会員限定です。
(残り 891文字 です)
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
【4/30(水)まで】 年額プラン2,000円OFFクーポン 配布中!
詳細はこちらから
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら