
オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』佐々木 孝 訳/岩波文庫
哲学者オルテガの代表作『大衆の反逆』の後半「第二部」は「世界を支配しているのは誰か」と題され、欧州統合への著者の熱い議論が展開される。本書が前半の「第一部」で描き出した「大衆の反逆」とは、戦間期の欧州文明が陥った精神的荒廃にほかならない。第1次世界大戦後に、欧州はそれまで維持していた世界に対する権力への確信を失い、その結果生まれた精神的荒廃である。
そのありようは、自らの失政もあって世界に対する支配的地位が揺らぎ出し、一種の精神的荒廃の中で、新たな自画像をめぐって苦悩する現在の米国の姿にもどこか似ている。この名著を現代に読む意味は、第二部を通じて一層はっきりとしてこよう。
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