ファーウェイ「3つ折りスマホ」制裁下で衝撃進化 独自OSと高級路線でスマホ市場を揺さぶる次の一手
この制約を乗り越えるため、ファーウェイは中国の半導体メーカーSMICと協力関係を築く。Financial Timesの2023年11月の報道によると、SMICは従来型の「DUVリソグラフィー」を使用した第2世代7nmプロセスでのチップ生産を実現した。
ただし、この製造方法には大きな課題がある。EUVリソグラフィーでは1回の露光で済む工程を、DUVリソグラフィーでは3-4回の露光で代替する必要がある。工程が増えることで製造時間は長くなり、不良品も増加。製造における歩留まり(正常に機能する製品の割合)は、通常の90%から20%程度まで低下するという。
この結果、チップの製造コストは大幅に上昇。ファーウェイはこの制約を逆手に取り、少量生産での完成品の品質管理を徹底することで、希少価値を持つ高級品として製品を位置づける戦略を取っている。
今回のMate XTについて特徴的なのは、スマートフォンでは珍しく主要半導体部品であるSoC(システムオンチップ)の詳細を公表していない点だ。おそらくファーウェイ傘下のHiSilicon製のKirinプロセッサーを搭載していると思われるが、具体的な型番は不詳だ。
5G対応についても注目すべき戦略が見られる。昨年のMate 60 Proは公式には5G対応を謳わなかったものの、実際には5G通信が可能だったことが判明。一方、今回のMate XTについても4G(LTE)までの対応しか公表していない。これは技術的な制約というよりも、フラグシップモデルの5G対応を前面に出すことを控えるという、アメリカへの配慮とも取れる慎重な姿勢に見受けられる。
アプリエコシステムの分断戦略
半導体に続く大きな課題が、スマートフォンの基本ソフト(OS)とアプリの対応だ。エコシステムではGoogle Playが使えないという制約がある。これを乗り越えるためファーウェイは独自のアプリストア「HUAWEI AppGallery」を拡充しているが、西側のアプリはほとんど登録されていない状況だ。
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