乗る日が違うと料金4倍、欧州「鉄道切符」の不思議 割引豊富だが「新幹線感覚」で飛び乗ると高額に

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その結果、鉄道の切符も駅で乗車時に買うものから、ネットで早めに予約して極力安く買うのが一般的になった。

メリットとしては、早期予約割引により需要が分散し、混雑緩和や空席率の改善が期待できる。また、旅行者にとって低価格で移動できる機会が増える点も大きい。実際、筆者も割安な時間帯の列車を利用するが、本来需要の少ない時間に適度な乗客が集まり、運行側・利用者双方にとってWin-Winな状況が生まれている。

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駅のデジタルサイネージに表示された鉄道チケットアプリの広告。鉄道会社以外によるチケットアプリの普及でネット購入が急速に広がった(筆者撮影)
【写真】イギリスの格安高速列車「Lumo」はこんな車内。欧州では鉄道版LCCの存在感が高まっている

もしこのような柔軟な運賃体系を日本で導入したらどうなるのだろうか。筆者は導入に賛成の立場だが、実行にはいくつかの課題がありそうだ。

列車本数の多い日本ではシステムが複雑化し、例えば運休による振替などが発生した場合、現場での運用が煩雑になる可能性がある。運賃の差が5〜6倍ともなれば、新たな不満が生じるかもしれない。さらに「当日購入でも同一料金で乗れる」利便性が根強く支持されているため、もし導入するとすればこの慣習を大きく変える必要があるだろう。

言い換えれば、この考えがあるからこそ、多くの日本人訪欧客が欧州で列車の切符を買う際に頭を抱える現状となっている。

ただ、欧州の鉄道の発券システムは複雑に見えるものの、これをしっかり理解して早めの購入を心がければ、驚くほどリーズナブルに旅が楽しめる。計画性を持って準備を進めることが肝心だ。

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さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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