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先月下旬からフジ・メディア・ホールディングスの株式を大量に取得し、大株主となった資産運用会社レオス・キャピタル・ワークスの藤野英人社長は、ブルームバーグの取材に対し、フジHDの経営陣の若返りを望んでいる、と語った。
7日に公表された大量保有報告書によると、レオス・キャピタルは1月20日以降フジHD株を買い進めて2月6日までに同社株を1200万株、5.12%を保有する大株主となった。取得には総額256億円を投じた。
藤野氏によるとレオス・キャピタルは日本のコンテンツ産業には可能性があるとみて強気なスタンスを持っており、既にテレビ東京株の5%以上を既に保有するなど、これまでもメディア株に投資をしてきていたという。
その上で、フジHDについて「問題はのんびりしたおじいさん経営者たちが支配していることや、人権無視みたいなところも含めたカルチャーだ」として、経営体制が変われば、「日本の中で一番開かれた、かつDXなどに対して前向きな会社に変貌する千載一遇のチャンス」との見方を示した。
元タレントの中居正広氏と女性との性的トラブルを巡る対応に批判が続出したフジHDの経営体制を巡っては、経営陣批判の急先鋒となっている大株主の米系ファンド、ダルトン・インベストメンツが、日枝久取締役相談役の辞任のほか、取締役会の過半数を独立社外取締役とすることを要求している。
藤野氏は、日枝氏だけの問題ではないとして現時点では日枝氏についてニュートラルだと指摘。経営陣全体の若返りが必要だと強調し、動画配信サービスのネットフリックスや音楽ストリーミングサービスを手掛けるスポティファイ・テクノロジーのような企業で経験を積んだ「ITやDX、グローバルなメディアについて理解のある人」が望ましいとの考えを示した。
また、今後株主総会に向けた委任状争奪戦(プロキシーファイト)のような事態に発展した場合には、内容次第で会社側提案にも株主側提案にも賛成する意向だと述べた。しかし、これまでのところ、フジを巡ってダルトン側と話をしたことはないと話した。
レオス・キャピタルはSBIホールディングスの傘下にある。しかし、SBIHDの北尾吉孝会長兼社長とは「最後に会ったのは1年半くらい前で、電話やメールをしているわけでもLINEを交換しているわけでもない」とし、同社と連携して動いているわけではないと述べた。
レオス・キャピタルは主力の「ひふみ投信」をはじめとする資産運用会社で、個人投資家が主な顧客となっている。昨年9月時点での運用残高は1兆3000億円を超える。
フジHDの株価は年初から既に54%上昇し、主要企業で構成されるTOPIX500指数構成銘柄の中で最大の上げ幅を記録している。
著者:佐野日出之、横山桃花
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