東大卒の国語塾経営者が選ぶ、国語力がメキメキ上がる小学生向けマンガ7選 『SPY×FAMILY』『ヒロアカ』など有名作品も
本作は有名どころですが、国語力をつけるうえで重要な「建前」を体感できる作品です。子どものうちは、“人間は言動と感情が矛盾する”ということをまだ理解できません。例えば誰かを怒らせてしまったとき、はっきり「怒ったぞ!」と言われることは少ないですよね。逆に、「怒ったぞ!」と言われたときは、相手は単にハッタリをかけているだけで、さほど怒っていないケースもあります。本当の「語彙力」とは、どれほど難しい言葉を知っているか(語彙量)ではなく、語彙の広がりをどれだけ理解しているか。この作品は、そうした「語彙の深さ」を学ぶのにうってつけです。
主人公の女の子は、人の心を読むことができます。父親と母親は、お互いに身分を隠しているスパイと殺し屋。両親の言動には裏の目的があることが多いですが、本心が見え隠れする瞬間もあり、それが作品の妙味です。登場人物が多く、いろいろな利害関係が見て取れるのも面白いところ。作品を通して、本音と建前、言動と真意の矛盾を読み取れるようになってもらえたらと思います。
実は、東大生に「国語力が上がるマンガは?」とヒアリングして1番多く挙げられたのが『僕のヒーローアカデミア』(以下、ヒロアカ)でした。私も小学生からずっと読み続けています。作品の魅力は、一人ひとりのキャラクターの掘り下げが深いところ。ストーリーが進むにつれ、各キャラクターのヒーロー観も変化していくのですが、この “変化を読み取る力”は、中学受験で求められる国語力に通じます。とくに、「爆豪勝己」と「トガヒミコ」という2人のキャラクターは、ある大きな出来事をきっかけに、主人公への感情がわかりやすく変化するので、注目してみてください。
ここまで、おすすめのマンガを7作品紹介してもらったが、神田氏は「重要なのは、あくまで“読み方”」だと語る。
「マンガを買って終わりではなく、面白さや感想を言語化することが大切です。子どもと感想を語り合うためにも、むしろ親こそマンガを読むべきかもしれませんね。私も両親の影響でマンガを読み始めたので、まずは親自身が楽しむことも大事だと思います。このとき、マンガの内容や言葉遣いなど、子どもへの影響を過度に考えすぎる必要はありません。大人向けのマンガは子どもにとっても面白いですから、お互いに興味を持った作品を共有し、親子でたくさん対話を重ねてみてください」
(文:せきねみき、注記のない写真:Graphs / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら