「No No Girls」オーディションが示した新たな形 ちゃんみなの「誰も諦めない」プロデュース哲学

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最終審査
(画像:ソニー・ミュージックレーベルズ プレスリリース)
最終審査
(画像:ソニー・ミュージックレーベルズ プレスリリース)
最終審査
(画像:ソニー・ミュージックレーベルズ プレスリリース)

とはいえ、審査は審査である。その結果、新しいガールズグループのメンバーとしてCHIKA、NAOKO、JISOO、YURI、MOMOKA、KOHARU、MAHINAの7名が選ばれた。

デビューメンバーとちゃんみな、SKY-HI
(画像:ソニー・ミュージックレーベルズ プレスリリース)

その場で発表されたグループ名は「HANA(花)」。メンバー一人ひとりがこれまで努力に努力を重ねて咲いた花だという意味だ。そしてその努力はこれからも続く。ちゃんみなも、「枯れない花を私も一緒につくってみせます」と宣言した。

結果発表と同時に、ちゃんみなから選ばれなかった3人(当然ながら涙する候補者もいた)に対してコメントがあったのも、このオーディションらしかった。

3人を「信じているからこその判断」であり、「なにが彼女たちにとって幸せなのか」を考えて判断した結果であると。この後も、3人にきちんと寄り添っていく旨の言葉もあった。それは、「誰も諦めない」というちゃんみなの"あの言葉"を思い出させた。

個性とスキルは両立する

「ただ、あなたの声と人生を見せてください」というちゃんみなのメッセージは、オーディション中に語った「デビューしても絶対に口パクはさせない」という言葉にも通じているだろう。声にはそのひとだけの人生、そして個性が宿る。

だからと言ってスキルがおろそかにされていいわけではない。むしろまったく逆である。4次審査の結果発表の際、ちゃんみなは個性とスキルのあるべき関係についてとても印象的な話をしていた。

「個性が強すぎるって言い方が私大嫌いなの」と切り出したちゃんみなは、「個性を持つにはスキルが絶対に必要」と候補者たちに語りかける。

具体的には、「個性とてんびんにかかって"ギリ勝つ"ぐらいのスキル」がなければならない。なぜなら、個性とはとがっているトゲのようなもので、「スキルが伴ってないとこのトゲに説得力がなくなってしまう」からだ。個性とスキルどちらかだけでは、「ただうるさい人」か「プレーンなつまんないパフォーマー」になってしまう。

ガールズグループの歴史をたどってみると、特にアイドルグループなどではスキルよりも個性が重視される傾向があった。ちゃんみなも個性を軽視しているわけではない。むしろそれぞれの個性をしっかり伝えるためにこそ、それに「"ギリ勝つ"ぐらいのスキル」が必要だと考えている。個性とスキルは両立させるべきものなのだ。

このことからも、ちゃんみなが既成概念に当てはまらないガールズグループを目指していることは明らかだろう。すなわち、ちゃんみな自身が言うように「最強のグループ」をつくるということだ。

今春のメジャーデビューが発表された「HANA(花)」は、どんな“枯れない花”を見せてくれるのか。

【東洋経済オンラインの動画では、BMSGの創業者であり、CEOを務めるSKY-HI氏のインタビューを掲載しています】
SKY-HIインタビュー:人を惹きつける「経営哲学
SKY-HIが語る「音楽ビジネス」の課題
太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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