さて、ニューミュージック以降、現在のシティ・ポップに至る流れをおさえておこう。
男性では来生たかお、南佳孝、山下達郎、女性では吉田美奈子、大貫妙子、矢野顕子、竹内まりや。これらの歌手の楽曲に共通のシティ感覚は、GDP世界第2位を背景に、東京が国際的に最先端モードにあった、多分にバブリーな時代の脱日本感を基調にしている。その意味で、往年の村上春樹の小説世界とも相通じるものがある。
これ以降、イルカの『なごり雪』や太田裕美の『木綿のハンカチーフ』など、中央(都市)と地方(田舎)に引き裂かれた恋人たちのラブソングも前時代的となり、やがて姿を消すことになる。
同時代の松山千春や中島みゆきが、日本というよりも、北海道という風土を確かなバックグラウンドとしているのと対照的に、彼らのサウンドは日本を背負わず、無国籍、コスモポリタンなリッチ感覚に彩られている。
大瀧詠一と桑田佳祐の登場
そもそもシティ・ポップは、日本ではなく、むしろ海外での日本再発見という形でブームに火が付いた。
アメリカの模倣に終始していた60年代のポップスの流れに終止符を打ったのは、それ以前に大瀧詠一であり、桑田佳祐であった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら