社外の知恵が生むJR東「驚きビジネス」誕生の裏側 自社では思い浮かばないアイデアが続々登場

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リスク回避の傾向、イノベーションの欠如、意思決定の遅さ……。これらはいずれも「大企業病」の典型的な症状である。そんな大企業病を克服するカンフル剤として期待されているのがスタートアップ企業との協業である。

スタートアップ企業とは新しいビジネスモデルで事業展開を行い、創業から短期間で急成長が見込まれる企業である。経営が硬直化した大企業もスタートアップ企業と協業することでイノベーションを起こす可能性が高まる。スタートアップ企業にとっても大企業のリソースを活用して事業の成長につなげることができるというメリットがある。

そこで生まれたのが、大企業とスタートアップ企業が協業してお互いの事業を加速する「アクセラレータープログラム」という仕組みだ。鉄道業界も例外ではない。JR東日本、東京メトロなど多くの大手鉄道会社がアクセラレータープログラムを活用したスタートアップ企業との協業を行っている。

JR東日本スタートアッププログラムでは、スタートアップ企業にアイデアを提案してもらい、審査を通った企業はJR東日本のリソースを活用して実証実験を行う。その結果を踏まえ、有望と認められる企業に対しては出資や業務提携といったステップに進むというものだ。

喜㔟陽一社長 JR東日本スタートアッププログラム
「JR東日本スタートアッププログラム」の発表会であいさつするJR東日本の喜㔟陽一社長=2024年11月26日(記者撮影)

「無人決済」など66件が事業化

初回となる2017年度は133件の提案があり、11社が採択された。その中には実証実験を経て事業化されたビジネスも複数ある。たとえばAIによる無人決済システムは大宮駅などでの実証実験を経て、開発企業とJR東日本が共同で事業化し、ファミリーマートなど全国各地の店舗で実用化されている。また、荷物預かりサービスの「ecbo(エクボ)」は東京駅での実証実験を経て、現在はカラオケ店や小売店、ホテルなど全国約1000カ所で同サービスを展開している。

無人決済店舗 高輪ゲートウェイ
無人決済システムはスタートアッププログラムで採択され事業化されたビジネスの1つだ(撮影:尾形文繁)

2018年、JR東日本スタートアップという会社が設立され、その取り組みに拍車がかかった。事業化された提案も少なくない。

その中の1社、岩手県盛岡市に拠点を置く「ヘラルボニー」は、障害者のアート作品を駅などの公共空間に展示して魅力付けすると同時に商品化して障害者に仕事と収入を提供するという提案を行なった。

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