金価格は第2次トランプ政権下でも上昇するのか 2025年の前半はかなり不安定な値動きになる?
もっとも、こうした「先行きの不透明感」に対する不安は漠然としたものだ。金への心理的な下支えにはなったとしても、大きなトレンドを作り出すほどに、持続的で強い買いを呼び込むだけの要因になるとまでは考えにくい。
アメリカのインフレ再燃・金利高止まり懸念がくすぶる
一方、大きな売り材料となる可能性のある材料が、2025年前半に台頭するシナリオには注意が必要だ。言うまでもなく、インフレの再燃だ。長期金利上昇とドル高、アメリカ金融当局の政策のタカ派転換がセットで進むことである。
巷間言われているように、第2次トランプ政権が打ち出そうとしている政策は、大幅な減税や規制緩和など景気浮揚につながるとして市場に歓迎されているものから、関税の大幅引き上げや不法移民の大量送還など、インフレ要因をもたらすと懸念されているものまでさまざまだ。
またトランプ氏は株価の動向を常に意識しており、市場にとって評判の悪い政策は、何の躊躇もなく変更したり撤回したりする可能性が極めて高い。実際に第1次政権のときも、株価が下落するとすぐにそれを帳消しにするような政策を出して株価を支えてきたことが少なくなかった。
だが、インフレに関してだけは、政策の変更だけでそう簡単には思い通りにならないと、考えておいたほうがよい。いったんインフレ圧力が高まってくれば、中央銀行が積極的な政策金利の引き上げを行っても抑制することはそう簡単ではなく、政府にできることは限られている。
昨年12月17~18日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利であるFF金利の誘導目標こそ予想どおり0.25%の引き下げが決定されたものの、それ以外はかなりタカ派的な内容だったことは周知のとおりだ。
声明文と同時に発表された経済予測(SEP)では、FOMC参加者(FRB理事7名と12の地区連銀総裁の計19名)による、ドットチャートと呼ばれる政策金利予想の中央値が公表されたが、2025年の金利については利下げ幅が0.5%と、前回のFOMC時に比べて縮小した。
また、1名は金利据え置き、3名は0.25%のみの利下げを予想。一方で5名が0.75%以上の利下げというハト派的な見通しを示してはいるものの、タカ派、ハト派の勢力は均衡しているとみてよいだろう。
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