トランプ氏にべったり「イーロン・マスク」の皮算用 高官候補人事から「トランプ2.0」の行方を占う
高井宏章(以下、高井):トランプ氏の人事案について持った印象は、例えば経済領域の高官候補の顔ぶれを見ても、経済に対する見方や政策の方向性に必ずしも一貫性があるわけではなさそうだ、ということです。
むしろ一貫しているのは、トランプ氏に「忠実」な人が選ばれているという点です。同じようなことが外交・安全保障領域などでも言えると思いました。アンバランスな組み合わせが散見される中、どういう力学で政権運営がなされていくと考えればいいのでしょうか。
二階堂遼馬(以下、二階堂):始まってみないとわからない部分が多いですね。トランプ政権の1期目では、安全保障政策を担当する大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏がすぐに解任されましたが、今回もトランプ氏は臨機応変に対応してくるのかなと思います。
「1期目と同じ轍は踏まない」
二階堂:経済に関していうと、たとえば中国に追加関税を課したとして、それが結果的にアメリカのインフレ高進に作用することもありえます。トランプ氏はバイデン政権下でのインフレを批判して当選したわけですから、自分たちの政策がインフレに寄与してしまうとなれば、その旗を降ろす可能性は十分あります。
そう考えると、忠誠心のある高官たちが、その時々のトランプ氏の方針に合わせて振る舞うのだろうと考えられます。
高井:2期目のほうが1期目より、さらに何が起きるかわからないと。
二階堂:そうですね。ただ、「1期目と同じ轍は踏まない」という部分はトランプ氏もかなり心得ているようです。実際に辞めていった高官たちが暴露本を出したりもしているので、そういったことを起こさない人物を周りに固めているのかなと思います。