ホンダと日産、電撃浮上した「経営統合」の現実味 立役者はホンハイ?株式市場の反応は明暗
スマートフォンなどの受託製造で急拡大を遂げたホンハイだが、2020年にEV開発プラットフォーム「MIH」を立ち上げて以来、EVの製造事業に参入。世界各地で自動車生産ラインを導入している。
ホンハイでEV事業のCSO(最高戦略責任者)を務めるのは日産出身の関潤氏だ。内田氏が日産の社長に就任した2019年12月、日産のナンバー3ポジションである副COO(最高執行責任者)に就いた。が、もともと社長の最有力候補だった関氏は、直後に日本電産(現ニデック)に電撃移籍。2023年1月にホンハイへ転籍した。
今年9月、関氏は日本で、久々に公の場に姿を現した。ホンハイ子会社のシャープの技術展示イベントに登壇し、「(ニデックでの経験を念頭に)高地トレーニングで鍛えられた」と語り、会場の笑いを誘った。この日は子会社のシャープがホンハイのEV車台(プラットフォーム)を活用したEVのコンセプトモデルをお披露目。関氏は意気揚々とホンハイのEV事業の戦略を語っていた。
EV熱は冷めつつあっても日産の割安感が勝る
だが、関係者によればホンハイのEV事業は必ずしも芳しい状況ではなかったようだ。複数のアメリカの新興EVベンチャーに出資していたが、昨年から今年にかけて2社が破産申請。受託生産の顧客も広がっていない。
世界的にEV販売が失速する一方、AIサーバーの製造が拡大しホンハイの業績は絶好調で、EV熱は冷めつつあったという。ただ、業績が悪化した日産の株価が大きく下がったことで、製造設備や販売網を格安で手に入れるチャンスと捉えたとみられる。