ホンダと日産、電撃浮上した「経営統合」の現実味 立役者はホンハイ?株式市場の反応は明暗
もともと8月の会見の1週間前に発表した2024年4〜6月期の営業利益はわずか10億円、前年同期比99%の減益だった。さらに11月に開示した2024年4~9月期は、営業利益が前年同期比9割減、自動車事業のフリーキャッシュフローは4483億円のマイナスに転落した。
日産の内田誠社長は生産能力の2割削減や9000人の人員リストラをはじめとした再建策を示したものの、仏ルノーから信託会社に移されていた自社株買いや巨額の社債償還などが迫る中、資金繰りの悪化が懸念されるようになった。
11月中旬にはアクティビスト(モノ言う投資家)が日産の大株主に浮上していることも判明した。一部でホンダによる日産救済論がささやかれる中、ホンダ幹部は「3社提携は規模を求めるのが目的。それ以上でもそれ以下でもない」と、日産救済の見方に予防線を張っていた。
ホンハイが日産への出資を打診
ここにきて急転直下、経営統合の話が浮上したのは、ホンダに対抗馬が出現したためだ。EMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が日産に対して出資の提案を行ったことが関係しているという。
ホンハイ関係者は「ホンハイ側は日産がリストラを進めるにあたり、工場設備を買収するなど資産だけを買い取ることも検討したもようだが、やるなら経営権の取得を目指すとなった。出資による経営への関与を日産側に打診している」と明かす。
交渉の状況を知る関係者は「(資本提携の話が表に出せるようになるにしても)来年の1月中旬か下旬のはずだった。ホンハイからの望まない提案で日産が焦った」と語る。