暴落の予兆?バフェット「現金50兆円」確保の狙い マーケットをつぶさに分析して見えてくること

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イールドスプレッドはいろいろな定義があって、人によって計算式も違うのですが、私がよく使っている指標は、S&P500の益利回り(PERの逆数)から債券利回りを引いたものです。

10年ものの債券で計算すると、マイナス1%程度になっています。株式投資の利回りが債券に比べて低くなっている、つまり割高になっているということです。マイナスになったのが22年ぶりなので、これも株価が割高になっているという判断基準の1つになると思います。

あともう1つ、私が個人的に株式の割高・割安を判定するうえで最も信頼性が高いと思っているのはCAPEレシオで、これはPER(株価収益率)の一種です。

通常のPERは今の利益に対して株価が何倍かを計算したものですが、短期の業績動向によって、数値が大きく変動してしまう問題があります。

CAPE指数はそれを排除するため、過去10年の平均利益に対して株価が何倍になってるかを計算します。これが20~25倍を超えると危険といわれているのですが、今は39倍です。ということで、アメリカの株価についていろいろな指標が割高だと示唆しています。

3つの指標が高い水準になっている理由

ただ、なぜ割高といわれるような高い水準になっているのか、理由もあるんです。

1つ目に紹介したバフェット指数が大きくぶれないとされるのは、GDPに占める企業利益の割合が時代とともに大きく変わらないだろうという前提条件があります。

ところが、現実には労働分配率が低下し、企業の取り分である企業利益が上がっています。「マグニフィセント7(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズ)」といわれるような利益率の高い巨大企業の株式市場でのプレゼンスが上がっていて、バフェット指数も時代とともに上がっていかざるをえない。

なので、100超えは危険という基準が今の時代には当てはまらないと思うのですが、じゃあどこまで上がっても大丈夫なのかといえば、そんなことはない。どこに警戒水準があるかはわからないが、今は200を超えていて「これはそろそろ危険なのではないか」という判断はできると思います。

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