テキストが動画にChatGPT「Sora」のインパクト 文章で指示するだけで映像が動く
この学習には大量の映像データが必要だが、生成される映像は既存の映像の単なるコピーではない。AIは学習した映像から「物体がどのように動くか」「光がどのように反射するか」といった法則を理解し、それを基にまったく新しい映像を作り出す。例えば、実在しない「パラソルを指して空を飛ぶカワウソ」でも、カワウソの動きや物理法則に従った自然な映像として生成できる。
生成時には、この仕組みで映像全体を一度に処理する。そのため、カメラが動いても物体の形や特徴が崩れず、一度画面外に出たものが再び映っても同じものとして表現できる。映像の長さや画面の大きさ、縦横比が変わっても、自然な映像を作り出せるようになった。
映像制作をより身近に
映像クリエイターにとって、Soraは企画段階での新しい武器となりそうだ。これまで言葉や絵コンテでしか表現できなかったアイデアを、具体的な映像として示せる。撮影や編集の前段階で、クライアントと具体的なイメージを共有できれば、作業の手戻りも減らせる。
広告・販売促進の分野では、商品の魅力を引き出す新しい表現が可能になる。実際の撮影が難しい状況設定や、現実では実現できない演出も、AIなら自由自在だ。複数のバージョンを素早く作って比較検討できるため、最適な表現を効率よく見つけられる。
不動産業界でも活用の余地は大きい。物件の外観や内装を、季節や時間帯を変えて表現できる。まだ建設中の物件でも、完成後のイメージ映像を手軽に制作できる。バーチャルな内覧動画を作れば、顧客の物件選びの手間も減らせるだろう。
製品開発の現場でも、試作段階での活用が期待される。新商品のデザインを動画で確認したり、使用シーンをシミュレーションしたりできる。アイデアを具体的な映像として共有できれば、開発チーム内でのコミュニケーションもスムーズになる。完成前の製品を想定した販促物の制作にも活用できそうだ。
一方で、動画生成AIの普及に対する懸念の声も強い。Wall Street Journalの報道によれば、Soraのような技術は広告業界の雇用に影響を与える可能性があり、業界からは「素晴らしい」という評価と「恐ろしい」という批判の両方が上がっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら