大の大人がハマる、日本流ハロウィン最前線 「サード・ウェーブ」はとてつもなく大きい
ハロウィンは「お祭り」。由紀子さんがそう表現したのは的を射ている。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主任研究員・妹尾康志さんは、日本人の「お祭り好き体質」が、ハロウィンの定着に寄与したと指摘する。日本人は元来、お祭りが大好きだ。特に秋は、豊作を祝う、あるいは願うお祭りが日本各所に根付いている。その開催時期と、ハロウィンの持つ「イベント性」や「非日常性」がマッチした。
妹尾さんによると、東京には身近な秋の祭りがあまり「存在しない」ことも、ハロウィンが広がった理由のひとつだという。
もちろん東京にお祭り自体はたくさんある。しかし、子どもの頃から東京育ちという人は少ない。子どもの頃、自分の地元のお祭りに参加経験はあっても、上京してからコミュニティにしっかり参加し、東京の伝統的なお祭りに参加しているかというとそうでもない。実際、都内のお祭りの参加者は減ってきている。参加しづらいということは、存在しないに通じる。
一方、ハロウィンのような新興のイベントは、都会の大人でも参加しやすい。情報発信の中心地である東京で、「お祭りの代替」として、本当はお祭りのような「非日常的」なイベントに参加したいという、「大人の隠れたニーズ」と合致した面もありそうだ。
第1次、第2次ブームとはここが違う
今回の取材にあたり、Facebook上でハロウィンの仮装経験者を募ったが、候補者はあっという間にそろった。これほど身近にハロウィン仮装者がいたとはと、あらためてその浸透度に驚く。
今年9月に発表されたネット調査によると、ハロウィンに仮装をしたい女性は7割というデータもある(ウィルゲート調べ)。同調査によると、この結果に地域差はない。それだけ、ハロウィンでの仮装は一般化し、全国へと広がりつつあるのだろう。前出の妹尾さんも、日本でハロウィンブームの波が来るのは「3度目」で、いよいよ本格化・全国化してきていると話す。
日本のハロウィンの起源は、1970年代。キデイランド原宿店が、10月のシーズンイベントとしてハロウィングッズの販売に注力したのが、知られるきっかけだったと言われている。
それから数十年。第1次ブームは、1997年に東京ディズニーランドが「ディズニー・ハロウィーン」を開始したことを契機に、突如、訪れる。ディズニーがハロウィンを取り入れたことは、「広告的な意味で強かった」と妹尾さん。CMなどを通じて全国の人がハロウィンを認知したことに加え、「あのディズニーがやるんだから、ハロウィンは人気で注目のイベントに違いない」と認識した人は多く、新しいモノ好きの人たちを中心に広がった。
セカンドムーブメントは、2000年代の後半。ハロウィンが徐々に浸透し始め、ビジネスチャンスがあると思ったお菓子メーカー各社が、2006年から08年にかけて、ハロウィンシーズン限定の味やパッケージの商品を売り出し始めた。いつも買っているお菓子がハロウィン仕様になることで、そこまで興味がなかった一般の人も期せずして、ハロウィン関連商品に触れる機会が増え、認知が広がった。
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