「気分を重視する人」ほど"決断力"がある意外な理由 決断力不足2大原因、「基準に悩む」「失敗を恐れる」
そのため、意思決定者の主観、気分、好み、といったものが頼りになります。たとえば競合他社との比較が好みなのであればその方向で分析を進めるべきであり、自社の過去との比較が妥当だと考えるのであればその方向で分析を進めればいいのです。
いざ最終的な結論を出す場面で失敗を恐れてしまう
第2の壁とは、要するに意思決定すること自体への抵抗や恐怖心に関するものです。一般論として、決めるということはリスクを伴います。結果的に思わしくなければその意思決定は間違っていたと評価されることもあるでしょう。
ビジネスパーソンにとってそれはもっとも避けたいことのひとつです。いざ最終的な結論を出す場面で怖気付くことは、ある意味では人間らしいことなのかもしれません。
意思決定とは「人格」である
2つの壁を考慮すると、ご紹介した5つのステップのうち、もっとも簡単なのはステップ④の定量分析なのです。多くのビジネスパーソンは「定量分析による意思決定」の難しさは定量分析にあると思っています。しかし実際はそうではありません。先ほどもお伝えしたように、定量分析とは数学です。数字とロジックを使い、教科書的な解を導くだけ。ある意味でとても簡単な仕事です。
つまり「定量分析による意思決定」の成否は、ステップ②とステップ⑤、つまりご紹介した2つの壁を突破できるかどうかにかかっているのです。
私の「意思決定者の主観、気分、好み、といったものを頼りに基準を設定する」という考え方に違和感を持ったり、異論を唱える人がいます。私もビジネスパーソンでしたから、その違和感はよくわかります。
しかしここで自分が好む、しっくりくるような方向性を定めておかないと、「心」が安定しません。「この基準で思考を進めて意思決定したなら、どんな結果でも納得できる」と自分で思えていないのです。結果、いざ最後に意思決定する際に怖気付くことになります。
そういう意味で、この第1の壁と第2の壁は意思決定者の「心」で密接につながっています。意思決定は数学ではありません。意思決定とは、人格なのです。
この記事をご覧の皆様は、意思決定に悩んでいたり、その解決策として定量分析という選択があることをご存じでしょう。しかしいくら定量分析をセミナーや書籍で学んだとしても、残念ながら、それだけでは意思決定できる人間にはなれません。
ぜひ、意志決定のための5ステップを身近なテーマで試してみてください。まずは意思決定というものがどういうものかを深く理解することから始めましょう。定量分析を学ぶことは、その後からで問題ありません。
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