加藤さんは、妻と7歳の長男、4歳の次男との4人暮らし。キャリアブレイク中の現在は、PR企業の顧問の仕事や研修・講演など、いくつかスポットの業務はこなしつつ、週の半分ほどはスケジュールを空けているのだという。
加藤さんはキャリアブレイクを「これまで向き合えてこなかった大事なことに取り組む期間」だと位置づけ、空いた時間をそのためにあてている。向き合えてこなかった大事なこととは、主に3つ。「家庭の財務管理」「健康管理」、そして「家族との時間」だ。
「財務管理」は、銀行口座の整理やクレジットカードの見直し、将来の資金計画など。どれも、忙しさのあまり先延ばしにしてきたことだ。これを機に、収支の状況を夫婦で見直す機会も定期的に作ることにした。
「健康管理」は、定期健康診断の受診、食生活の改善、睡眠時間の見直し、運動習慣の確立など。これまで加藤さんは「自分は健康だ」と信じていたが、健康診断を受けると要検査の項目が見つかり、あらためて健康管理の大切さを認識したという。加藤さん自身だけでなく、妻や子ども、親も含め、健康診断の受診や病気の予防に取り組んでいる。
そして、「家族との時間」。例えば、小学校1年生の長男の夏休み中は、将棋にハマった長男に付き添って、東京・千駄ヶ谷にある将棋会館に連日一緒に通った。往復2時間以上、電車に揺られながら子どもと話す。それは、忙しく働いていた頃にはとれなかった家族との時間だった。
人生の優先順位が変わっていった
2023年の年末に退職してから、およそ1年。この期間を通して、だんだんと人生における優先順位が変わっていった。
これまで加藤さんは、がむしゃらに働いてきた。その甲斐あって、収入もキャリアも上昇してきた。しかし、キャリアブレイクの期間を過ごすうちに、ライスワーク(お金を稼ぐための仕事)の比重の大きい生活に違和感を感じるようになっていったのだという。
今は子どもとの時間が優先事項だが、もしかしたら今後、両親のサポートが必要になるかもしれない。夫婦での時間が今より必要になるかもしれない。自分自身へのケアが必要になるかもしれない。だからこそ、「家族の時間をつくるための余白は、常に残していきたい」と、加藤さんは考えるようになった。
だから、キャリアブレイクの期間を終えたとしても、フルタイムで働くことはなさそうだという。お金を稼ぐための仕事を週2.5日くらいで行い、残りの時間はやりたいことをするような働き方を今後も続けるかもしれない、と考えている。
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