戒厳令は身内びいき政治が産んだ大統領の乱心だ 攻勢強める野党、内乱罪告発、弾劾罷免の可能性高まる
尹大統領と韓代表の間は、金建希氏の疑惑への対処などをめぐり、すでに冷え込んでいた。とはいえ、軍だけでなく、情報機関の幹部まで動員して与党代表を拘束しようとしたことが事実なら、尹大統領は正気を失った状態だったと推察される。
もともと身内びいきの閉鎖的な体質が指摘されてきた尹大統領は、総選挙での与党大敗後、さらに内向きな高官人事を進めた。「非常戒厳」を尹大統領に建議した金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防相はその典型例とされる。
与党にも強い不信感?
野党は「非常戒厳」の撤回表明後、即座に尹大統領に加え、金国防相と李祥敏(イ・サンミン)行政安全相らを内乱の疑いで告発した。3人とも同じ高校を卒業した間柄で、尹大統領を中心に金国防相が先輩、李行政安全相が後輩にあたる。
「非常戒厳」の計画をひそかに誰と練ってきたのか不明だが、金国防相は当然として、李行政安全相も深くかかわっていた可能性が指摘される。
尹大統領の弾劾問題はかねて野党が訴えてきたものの、これまでは、たとえ与党から造反が出て国会で訴追案が可決されても、憲法裁判所で罷免が認められる可能性は高くないとみられてきた。
現職大統領ながら初めて弾劾・罷免された朴槿恵(パク・クネ)氏のケースから、大統領の裁量をもっと重視すべきだといった声が出たためだ。だが、今回の尹大統領は異なる。
韓国憲法は、内乱罪などを犯した場合以外、大統領は在任中、刑事訴追を受けないとしている。今回の「非常戒厳」などに内乱罪が適用されれば、死刑、無期懲役、または5年以上の懲役が科される。
仮に内乱罪に問われなかったとしても、弾劾訴追案が可決されれば、その後の憲法裁判所の判断は朴氏の時より、さらに厳しくなるだろうとの見方が強まっている。
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