韓国・弾劾審査期間中の政治体制はどうなるのか 180日以内に憲法裁判所が判断するまで首相が代行
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が2024年12月14日、国会で可決され、尹大統領の権限はすべて停止された。
尹大統領は今後、憲法裁判所の弾劾審判の結果が出るまで、国家元首、行政府首班、軍統帥権者としての権限を一切遂行することができない。
尹大統領は今後数カ月間、ソウル市内にある官邸で生活し、弾劾審判と内乱罪の捜査に対応するための準備をすることになりそうだ。
12月3日、「救国の意志」として宣言した「非常戒厳」(戒厳令)で尹大統領は大統領職を維持できるかどうかはもちろん、内乱の首謀者として歴史に残されるという危機にさえ直面している。
権限は停止されるが待遇はほぼ同じ
尹大統領は今後、憲法に規定されたすべての大統領の権限を行使することができない。大韓民国憲法66条は「大統領は国家元首であり、外国に対して国家を代表する」と明記し、73条と74条は「大統領は条約を締結・批准し、外交使節を信任・受諾または派遣し、宣戦布告と講話を行う」「国軍を統帥する」となっている。
つまり軍統帥権や条約締結批准権、赦免・減刑・復権権、法律案の再議要求権(拒否権)、公務員任免権などを尹大統領はすべて行使できなくなった。
国務会議及び大統領室首席秘書官会議を開くなど日常的に行ってきた国政運営権限もすべて停止された。もちろん、憲法裁の弾劾審判結果が棄却されれば、すべての権限は回復する。
ただし職務停止期間中は、大統領という身分まで剥奪されるわけではない。これにより、「尹錫悦大統領」という称号はそのままで、官邸でも生活できる。大統領室と警護処の警護、儀式も維持される。