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「フィリピン大統領の暗殺を依頼」した副大統領 現職マルコス対前職ドゥテルテの全面対決へ

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  • 柴田 直治 ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表
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マルコス陣営も暗殺発言に及んで対決姿勢を強めている一方で、任期終了まで歴代ダントツの8割以上の支持率を誇ったドゥテルテ氏のカリスマや熱烈な支持者の動向に気をもんでいる

最近もドゥテルテ支持者の力を見せつける事例があった。ダバオに本拠を置く新興宗教団体「イエス・キリストの王国」の教祖アポロ・キボロイ容疑者の捕物劇だ。

ドゥテルテ氏の有力スポンサーで、前政権下では大統領の「スピリチュアル・アドバイザー」の肩書を与えられキボロイ容疑者はアメリカから人身売買への関与などで指名手配され、国内でも児童虐待などの疑いで逮捕状が出ていた。

国家警察は2024年8月末に2000人の警察官を動員して、広大な教団本部を捜索したが、発見できず、逆に信者らの激しい抵抗にあった。その後、警察が包囲を続けたが、半月以上が経った9月8日に、本人が警察ではなく国軍に投降するまで身柄を確保することができなかった。

ドゥテルテ支持者の動向を気にするマルコス氏

ICCが逮捕状を発付し、警察や軍がドゥテルテ氏の身柄確保に動いたとしたら、混乱の規模はキボロイ容疑者の比ではなく、内戦に近い状態になると予想する声がある。政治的にも24人の上院議員のなかでドゥテルテ派は一大勢力で、半数が改選される2025年の中間選挙でも相当数が当選圏内にいる。

劣勢とはいえ、ミンダナオ島や上院に根を張るドゥテルテ派の統領を徹底的に追い詰めることのリスクをマルコス氏も感じているはずだ。

ICCは11月21日、イスラエルのネタニヤフ首相やガラント前国防相に対し、ハマス軍事部門トップのデイフ氏とともに逮捕状を発付した。2023年3月にはロシアのプーチン大統領にも発付している。

しかしICCは逮捕状を執行する手段を持たず、実際に逮捕するには加盟国の協力が必要だ。イスラエルやロシアはICCに加盟しておらず、少なくとも国内にとどまる限り、逮捕状が執行されることはない。

だがドゥテルテ氏の場合、フィリピン政府がICCに再加盟したり、協力したりすれば身柄を拘束され、ICCに送られる可能性もある。

今後の推移は見通せないが、ドゥテルテ父娘の言動に加えてICCの捜査の行方と政府の対応はフィリピン政局最大の焦点であり続けるだろう。

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