次の狙いは「中東」?欧州鉄道メーカー最新事情 水素車両は一段落、目立つ新車の「納期遅れ」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

当初は同時に発注していた機関車の製造が遅れ、客車が先にデビューするという話だったが、もたもたしているうちに機関車は完成してしまい、今回のイノトランスに展示された。

一方、まったく同型の客車を発注したデンマーク鉄道は同車を展示したが、こちらも納期が遅れる可能性が指摘されている。タルゴはチェコのシュコダグループが買収する動きを見せており、展開次第ではこの先のビジネスにも影響がありそうだ。

環境対応、まずはハイブリッドやバッテリーか

冒頭で述べたとおり水素燃料の話題は一段落したという印象があり、動力源は水素を含めさまざまなオプションを提示する展示が多かった。水素燃料車両が展示の中心となる時代は、技術が安定し、供給源が確立したあとのことになるだろう。

2024 Innotrans
2024年の「イノトランス」展示会場に並んだ車両たち(撮影:橋爪智之)

ただし、環境問題に対する訴えが下火になったという意味ではない。水素が現代社会において、まだエネルギー源の主役になり得ていない現状を踏まえ、ほとんどのメーカーがそれ以外の方法での低公害化を提案するようになっただけのことだ。

Stadler RS ZERO
バッテリーと水素に対応したシュタドラーの「RS ZERO」(撮影:橋爪智之)

例えば、非電化区間向け車両はハイブリッド式が中心となったのはやはり環境問題を意識してのことで、架線からのバッテリー充電式を含め、乗用車のハイブリッド車やPHEVと同じ道をたどっているようだ。ディーゼルエンジンやバッテリーを電車に搭載し、電化区間も非電化区間も走ることができるバイモード車両も各国で採用されつつあり、日立の「マサッチョ」のようにすべて搭載したトライブリッドなる仕様も登場した。

水素燃料技術の未来は、2024年11月1日付記事『故障で全面運休も、欧州「水素列車」の前途多難』でお伝えした通り、安定した供給ができるインフラの整備と、故障せずきちんと走らせることができるかどうかにかかっているといえる。この先順調に技術が熟成され、故障が少ない信頼性の高い製品の量産化が達成されるまでの数年~十数年は、大容量バッテリーによるハイブリッド車やバッテリー車両が、非電化区間の中心となって活躍する時代が来るのではないか、と予想される。

この記事の画像を見る(15枚)
鉄道最前線の最新記事はX(旧ツイッター)でも配信中!フォローはこちらから
橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事