シンガポール総選挙、与党が圧勝した理由

89議席のうち人民行動党が83議席を獲得

投票所に整然と並ぶシンガポール国民(写真:REUTERS/Edgar Su )

逆に言えば、野党への批判票が積み重なった結果とも言える。野党で唯一、議席を保有していた労働者党(WP)は、アルジュニード集団選挙区で議席を維持したものの、今回は50.95%という薄氷の勝利となった。また、ホウガン1人選挙区でも議席を維持したものの、前回補選で獲得した62.1%から57.69%と減らしている。

シンガポールの選挙区は、1つの議席を争う13の「1人区」と、各政党が4~6人の候補者を1つのグループとして争う16の「集団区」が設定されている。WPはそれぞれ1カ所ずつ勝利したことになる。

野党が7つも乱立

投票所の様子(写真:REUTERS/Edgar Su)

WPが得票率を減らしたのは、「政策能力、行政能力がまだ国民に認められていない証拠」と岩崎教授は断言する。さらに今回は野党が7つも乱立したことが、結果的にPAPへの追い風になったとも付け加える。「唯一議席を持つWPが指導力・調整力を発揮し野党を一本化すべきだが、その能力もない。野党側は長期的な戦略を練り直しすべきだろう」(岩崎教授)。

国政運営上の課題は山積している。今回の選挙で焦点の一つとなった外国人労働者受け入れの問題など、経済・社会的問題は解決すべき喫緊の課題だ。国民の生活向上のためには、独裁への不満はあるものの、運営能力を考えればPAPしかいないという国民の現実的判断が見える。「強力な委任を与えてくれたシンガポール国民に感謝する」と述べたリー・シェンロン首相だが、その委任に、素早く、的確に対応できるかどうかが、今後の注目点である。

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