「会社がつらい」同期トップ入社の彼に起こった事 「発達障害グレーゾーン」の人たちの特徴とは?
しかし、研修期間が終了し、クライアント業務を主担当として行うようになると、プレゼン資料作成に時間を取られ、肝心のプレゼンに遅刻をしたり、納期に間に合わなくなることが増えてきました。
また、会議でクライアントに説明する立場となったAさんは、クライアントの話をさえぎって、分析結果を延々と話し続けたり、用意した資料について質問をされても、的外れの答えをしたりすることからクレームが入るようにもなりました。
次第に周囲から厳しく指摘されることが増え、Aさんは、コミュニケーションがうまくいかないと悩み出しました。
Aさんの“こだわり”や“空気が読めない”というのは、社会人になって始まったことではありません。学生の頃も、クラスで“浮いている”と感じたことはあるそうですが、成績優秀だったので、特に問題にはなりませんでした。
これまでは彼の“こだわり”によって作成した市場調査の資料などが、社内外でほめられることが多く、会社でも頭脳明晰で、「同期期待の星」などと言われていたのです。
しかし、最近では、クライアントから「話が通じないので担当を変えてほしい」と言われたり、同僚から「分析だけでなくて、プレゼンの仕方を勉強したほうがいいんじゃないか」などと指摘されて、自信を喪失し、会社に行くのがつらいと思うようになってきたそうです。
「傾向がある」との診断結果
Aさんは自分の特性をネットで調べ、発達障害の1つである“自閉スペクトラム症”に行きつきました。そして、「自分は自閉スペクトラム症ではないか」と筆者に相談にきたのですが、その後受診した精神科では「その傾向がある」と言われました。
自閉スペクトラム症の特徴としては、言語以外のメッセージであるメタメッセージ(表情や声色、ジェスチャーなど)が受け取れない、固執傾向(こだわりが強い)、相手の立場に立つといった想像力が働きにくいなどがあります。
言葉によるコミュニケーションは、言葉自体によって20%、メタメッセージによって80%伝えられるといわれており、メタメッセージの読み取りがうまくいかないと。“空気が読めない”ということになってしまいます。
近年、Aさんのように社会に出て初めて、この障害(グレーゾーンを含む)が自分にあることがわかったという人が増えているのです。
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