iPad対抗の急先鋒 ウルトラブックの実力

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止まらない価格下落 メーカー再編の動きも

ウルトラブックにはパソコンメーカーも期待を寄せる。多くのメーカーはタブレットにも参入しているが、シェアの7割をアップルのアイパッドが占め(調査会社の米IDC・11年4~6月期)、太刀打ちできていない。

加えて、パソコン市場は急激な価格下落が進む。IDCジャパンによると、デスクトップとノートを合わせたパソコンの平均販売単価は05年には14万円を超えていたが、11年は10万円台に下落。15年には8万円近くに落ち込むと予測されている。

採算悪化を受け、パソコン世界シェア首位の米ヒューレット・パッカードですら11年8月にパソコン事業の分離を表明(10月に撤回)。国内シェア首位のNECも同年7月、中国大手レノボと合弁会社を設立し、パソコン事業を分社化した。「採算の低いパソコン事業を保有するうまみが薄れている。次にどのメーカーが撤退や売却してもおかしくない状況だ」(証券アナリスト)。

レノボ・ジャパンの大岩憲三常務は「ウルトラブックは高付加価値の製品。価格は追求しない」と言う。ただ、ウルトラブックの規格が決まっている以上、大きな差別化が難しいのは確か。これまでと同様に、各社が同じような商品を発売し価格競争が激化する構図になりかねない。

インテルは今春に現在より高性能で低価格のCPU「アイビーブリッジ」を、13年はさらに進化した「ハスウェル」を投入し、ウルトラブック普及に弾みをつける。同社は12年末にウルトラブックがパソコン市場の4割を占めると予測する。

ウルトラブックは低迷するパソコン業界の救世主となるのか。メーカーは期待と不安を抱えながら、勝負が本格化する春商戦に臨む。

(島田知穂 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2012年1月14日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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