アップル、Mac刷新"メモリ倍増"が示す戦略的意志 「生成AI時代」に対応した製品ポートフォリオ
しかし、今回あまり目立ってはいないが、大きな変更が施された。エントリークラスを含めてメインメモリを16Gバイト以上に揃えたことだ。デスクトップ一体型(iMac)、デスクトップ型エントリーモデル(Mac mini)、ノート型エントリーモデル(MacBook Air)はすべて16Gバイト以上に統一された。MacBook Airはハードウェアは全く変更されず、メモリ搭載量だけが2倍になって、価格は維持。実質上の値下げだ。
このようなベーシックグレードの底上げは、将来的なMacにおけるApple Intelligenceへの適応性向上にある。なぜなら、パーソナルコンピューターとスマートフォンでは、同じAIでも活用シナリオが異なると考えられるからだ。
ハードメーカーのAI対応の道を照らす
Apple IntelligenceはAppleが提供するすべてのデバイス向けOSに組み込まれ、ユーザーインターフェイスの改善だけではなく、個々の機能を改善してコンピューターの使い方を変えていくだろう。
それは個々の道具としての進化の範疇ではあるが、一方で、パーソナルコンピューターは常に机の上にあり、仕事や学習クリエイティブをサポートする道具として、スマートフォンとは異なる使い方をするものだ。
一度に使う時間も長く、対話を通じて、じっくりと成果物の品質を高めていく面が、スマートフォンよりも明確にあると言えよう。そうしたデバイスである。パーソナルコンピューターは、同じAIの使いこなしでもより幅広いトークン量を求められる。
つまり、より長い文脈におけるより良い成果に向けてのやりとりが長くなり、以前に交わした対話に立ち返っての見直しなども必要になってくるだろう。実際に生成AIを活用している方ならば、そうした対話の長さ、文脈を汲み取ることの重要性についてわかるだろう。
搭載メモリの倍増は、今後のApple Intelligenceの開発の方向を示しているのかもしれない。つまり、パーソナルコンピューター向けへと発展させていくとき、基礎は同じでも応用の方向が変化していくのではないか。
今回のアップデートでアップルは、Macの事業領域でのAI対応の準備を整え終えたが、半導体、デバイス、OS、クラウドを統合しながらAI時代へと適応させる動きは、今後もiPhone、iPadはもちろん、すべての事業領域にわたって動いていくだろう。
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